国からお金を借りるには?個人向け・事業者向けの公的融資を目的別に紹介

更新日:2024.09.06 投稿日:2024.07.18
国や公的機関からお金を借りる公的融資とは

公的機関はさまざまな形でお金に困った方への支援を行っているものの、給付金などは要件が厳しいものも多く、お金をもらう制度だけでは限界がありますよね。

実は公的機関では、お金を給付するだけでなく、状況に応じて貸し付ける公的融資も行っています。
本記事では、さまざまな目的に応じて利用できる公的融資を紹介しますので、下記項目のリンクから、自分の状況にあった制度を探してみてください。

用途 こんな人に読んでほしい 各項目へのリンク
生活費・住居費
  • とにかく生活に困っている
  • 失業・求職中
  • ひとり親世帯
  • 年金を受け取っている
  • 不動産を所有している
生活費・住居費に使える制度の解説を見る
学費・教育費 子どもまたは自分が進学を控えている 学費・教育費に使える制度の解説を見る
事業費
  • 起業家
  • 事業者
事業費に使える制度の解説を見る

いまは困っていない項目も、みなさんの人生でいつか必要になる内容かもしれません。

ぜひ本記事をブックマークして、あらゆるピンチに備えていただければ幸いです。

ライター工藤
工藤
私は前職で行政に勤めていたので、公的機関の制度がどれほど複雑か、とても身にしみています・・・。本記事ではできるかぎりわかりやすく説明するので、行政の制度が苦手な方も安心してくださいね。
この記事の執筆者【ライター】工藤
ライター工藤
クレジットカードやカードローンなど金融関連の記事を執筆しています。 前職は公務員として12年勤務。独自目線での情報もお届けできればと思います。...
この記事の監修者【FP】四方裕伸
FP四方裕伸
家計や法人のFP相談を毎年数多く受けながら、サービス向上のため、保険、建築設計、リフォーム、不動産の勉強を重ね、すべてにおいて事業を開始し、最後まで責任をもってお手伝いをしています。 「ゆうり式...

生活費・住居費に使える制度

失業などで生活に困ったとき、最後の砦になるのは生活保護ですが、一定以上の収入や財産、親族の援助などがある場合は受給できません

ここでは生活保護のような公的給付以外に、貸付の形で支援を受けられる公的融資について詳しく説明します。
以下の表から、ご自分の目的に合った制度を確認しましょう。

対象 制度 各項目へのリンク
とにかく生活に困っている人 日常的な生活費・住宅費 総合支援資金(生活福祉資金貸付) 総合支援資金(生活福祉資金貸付)の解説を見る
突発的で高額な出費 福祉費(生活福祉資金貸付) 福祉費(生活福祉資金貸付)の解説を見る
緊急で必要な短期の生活費 緊急小口資金(生活福祉資金貸付) 緊急小口資金(生活福祉資金貸付)の解説を見る
公的支援を受けるまでのつなぎの生活費 臨時特例つなぎ資金貸付制度 臨時特例つなぎ資金貸付制度の解説を見る
生活費 善意銀行 → 善意銀行の解説を見る
無職・求職中の人 求職者支援資金融資 求職者支援資金融資の解説を見る
ひとり親世帯 母子父子寡婦福祉資金貸付金 母子父子寡婦福祉資金貸付金の解説を見る
不動産を所有している高齢者(65歳以上) 不動産担保生活資金(生活福祉資金貸付) 不動産担保生活資金(生活福祉資金貸付)の解説を見る

 

【生活福祉資金貸付】総合支援資金

全国の都道府県・市町村に設置されている社会福祉協議会では、低所得者・高齢者・障害者の生活を支える目的で、生活福祉資金貸付制度を行っています。

社会福祉協議会とは?
民間の社会福祉活動を推進するため、社会福祉法に基づき設置されている非営利の民間組織。各都道府県・市町村に設置されており、福祉サービス・相談活動・ボランティアなどの福祉活動を行っています。
社会福祉協議会

生活福祉資金貸付のうち、生活を立て直すための費用を融資しているのが、総合支援資金です。

総合支援資金は以下の3つの区分に分かれています。

総合支援資金の3つの区分

どの区分も連帯保証人がいれば無利子で借入ができ、連帯保証人がいなくても年率1.5%という非常に有利な金利で融資を受けられます。
複数の区分を同時に利用することも可能です。
利用を検討する場合は、まずお住まいの市区町村の社会福祉協議会に相談してみましょう。

生活支援費

生活支援費は、申請者が自分の生活を再建するまでの間に必要な費用を貸し付ける制度。

詳細な融資の条件は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間※1 貸付期間
  • 単身世帯:月額15万円
  • 複数世帯:月額20万円
最終貸付日から6月以内 原則3ヶ月(最長12ヶ月)
返済期限 貸付利子 連帯保証人
貸付終了後1年以内に返済開始、最長10年以内
  • 連帯保証人あり:無利子
  • 連帯保証人なし:年1.5%
原則必要
ただし、連帯保証人なしでも貸付可

※1 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。
※ 総合支援資金の利用にあたっては、すでに就職が内定している場合等を除いて、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が要件になります。

日常的な生活費用を継続的に借りられる制度なので、「とにかく生活に困っている」という方は、この区分が使えないか検討してみましょう。

住宅入居費

住宅入居費は、入居の際に必要になる敷金・礼金などの費用が目的の場合に、融資が受けられる区分です。

詳細な融資の条件は以下のとおり。

貸付限度額 据置期間※1 貸付期間
一律40万円 貸付の日(生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活 支援費の最終貸付日)から6月以内

返済期限 貸付利子 連帯保証人
貸付終了後1年以内に返済開始、最長5年以内
  • 連帯保証人あり:無利子
  • 連帯保証人なし:年1.5%
原則必要
ただし連帯保証人なしでも貸付可

※1 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。
※ 総合支援資金の利用にあたっては、すでに就職が内定している場合等を除いて、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が要件になります。

新しい仕事が決まって、どうしても転居しなければいけない場合などに役立つ制度と言えるでしょう。

一時生活再建費

一時生活再建費は先に説明した生活支援費と違い、一時的に必要になるまとまったお金を融資する制度です。

具体的に対象となる利用目的は以下のとおり。

一時生活再建費の対象になる利用目的
  • 生活再建のため一時的に必要かつ日常生活費で賄うのが困難な費用
  • 就職・転職を前提とした技能習得に要する経費
  • 滞納している公共料金等の立替費用
  • 債務整理をするために必要な経費
貸付限度額 据置期間※1 貸付期間
一律60万円 貸付の日(生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活 支援費の最終貸付日)から6月以内

返済期限 貸付利子 連帯保証人
貸付終了後1年以内に返済開始、最長5年以内
  • 連帯保証人あり:無利子
  • 連帯保証人なし:年1.5%
原則必要
ただし、連帯保証人なしでも貸付可

※1 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。
※ 総合支援資金の利用にあたっては、すでに就職が内定している場合等を除いて、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が要件になります。

一時生活再建費は継続的な融資ではなく、一度に60万円までというまとまった金額の融資を相談することが可能です。

【生活福祉資金貸付】福祉費

社会福祉協議会が行う生活福祉資金貸付には、基本的な生活費以外にも、高額な一時的出費について融資が受けられる福祉費というものもあります。

福祉費が使える内容は以下のとおり。

生活福祉資金貸付の福祉費が利用できる用途
  • 生業を営むために必要な経費
  • 技能習得に必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費
  • 住宅の増改築、補修等及び公営住宅の譲り受けに必要な経費
  • 福祉用具等の購入に必要な経費
  • 障害者用の自動車の購入に必要な経費
  • 中国残留邦人等に係る国民年金保険料の追納に必要な経費
  • 負傷又は疾病の療養に必要な経費及びその療養期間中の生計を維持するために必要な経費介護サービス、障害者サービス等を受けるのに必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費
  • 災害を受けたことにより臨時に必要となる経費
  • 冠婚葬祭に必要な経費
  • 住居の移転等、給排水設備等の設置に必要な経費
  • 就職、技能習得等の支度に必要な経費
  • その他、日常生活上、一時的に必要な経費

貸付条件は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間※1 貸付期間
580万円※2 貸付けの日(分割による交付の場合には最終貸付日)から6月以内

返済期限 貸付利子 連帯保証人
据置期間経過後20年以内
  • 連帯保証人あり:無利子
  • 連帯保証人なし:年1.5%
原則必要
ただし、連帯保証人なしでも貸付可

※1 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済する。
※2 資金の用途に応じて上限目安額を設定

かなり幅広い用途に利用できることがおわかりいただけると思います。

通常の生活費に困っているなら総合支援資金突発的な高額の出費で困っているなら福祉費と覚えておくとよいでしょう。

福祉費の利用を考えている方は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会にご相談ください。

【生活福祉資金貸付】緊急小口資金

緊急かつ一時的に生計の維持が難しくなった人に、無利子で10万円までの融資を行うのが、緊急小口資金の制度。
※ 緊急小口資金の利用にあたっては、すでに就職が内定している場合等を除いて、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が要件になります。

とにかく生活の危機が差し迫っている人への支援を目的としているので、公的融資のなかでは最速で借り入れできる制度です。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
10万円以内 貸付の日から2月以内

返済期限 貸付利子 連帯保証人
据置期間経過後12月以内 無利子 不要

※据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

「目先の生活費すらない」という方は、まず緊急小口資金を利用できないか、お住いの市区町村の社会福祉協議会に相談してみてください。

臨時特例つなぎ資金貸付制度

失業などで生活費に困るだけでなく、住居まで失った方10万円まで当面の生活費を融資するのが、臨時特例つなぎ資金貸付の制度。
臨時特例つなぎ資金貸付が利用できる人は以下のとおりです。

臨時特例つなぎ資金貸付が利用できる条件
  • 住居のない離職者である
  • 公的給付・公的貸付の申請が受理されている(具体例は後述)
  • 公的給付・公的貸付までの生活が困窮している
  • 申請者名義の口座がある

臨時特例つなぎ資金貸付の対象となる公的給付・公的貸付は、たとえば以下のようなものです。

臨時特例つなぎ資金貸付の対象になる公的給付・公的貸付の例
  • 生活保護
  • 雇用保険
  • 失業等給付
  • 訓練・生活支援給付
  • 住宅手当

具体的な融資の内容は以下のとおり。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
10万円以内
返済期限 貸付利子 連帯保証人
申請中の公的給付・貸付が決定され、資金が入金された時点で即時一括または分割で返済 無利子 不要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

臨時特例つなぎ資金貸付は利息も保証人も不要なので、本命の給付や貸付が受けられるまで、一切の負担なくつなぎ資金が得られます。

自分が利用できるか気になる方は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会で相談するとよいでしょう。

なお臨時特例つなぎ資金貸付も即日融資を受けられるわけではなく、1週間程度の期間を要します。

もし今日の食事にも困るような状況の方は、貸し付けの相談と同時に状況を伝え、その後の対応についてアドバイスをもらうようにしましょう。

融資まで時間がかかる?社会福祉協議会にいろいろ聞いてみました

公的な制度は複雑なので、一般的に公表されている情報だけではなかなかわからないこともあります。

そこでフィンクル編集部では、社会福祉協議会に直接インタビューしてみました!

ライター工藤
工藤
もっとも融資が早い緊急小口資金の場合、最長でどのくらい時間がかかりますか?
社会福祉協議会の方
社会福祉協議会
ケースによってまったくことなるので、一概にお答えするのが難しいです。
金融機関の融資は1ヶ月近くかかるので、それより早くなるよう努めてはいますが、状況が複雑な場合は同じくらいかかる可能性もあります。
ライター工藤
工藤
数日の生活費にも困っているという場合、どのような対応をしていただけますか?
社会福祉協議会の方
社会福祉協議会
基本的には生活保護の受給もみすえて、市区町村の福祉窓口を案内しています。生活保護の場合は、状況次第で支援が即日決定される場合もあるようです。また必ずではないですが、地域によっては相談を受けた際に非常食を渡している社会福祉協議会もあります。
ライター工藤
工藤
都道府県と市区町村にそれぞれ社会福祉協議会がありますが、公的融資の相談をしたい場合、どちらにうかがうのがよいですか?
社会福祉協議会の方
社会福祉協議会
窓口は市区町村の社会福祉協議会になります。都道府県の社会福祉協議会では融資の審査を行っていますが、ご相談は市区町村の協議会を案内することになります。お時間が余計にかからないよう、市区町村の社会福祉協議会にご相談いただければ幸いです。

今日明日の生活にも困っているという場合は、まずお住いの市区町村の福祉窓口に相談しましょう。

ただし今回のインタビューでは非常に丁寧に答えていただき、社会福祉協議会でも親身に対応してもらえそうだと実感しました。

融資のことも含め気軽に相談してほしいということなので、お困りの方は安心してご相談ください!

善意銀行

生活に困った人が借り入れできる仕組みのひとつが、善意銀行が行う小口貸付です。

善意銀行は個人や企業などからの寄付で成り立っており、生活に困った人を対象として一時的な融資も実施。

生活に困っていると判断されれば、無職でも1万円~10万円(居住地域により異なる)の貸し付けを無利子で受けられます。

前述の生活福祉資金貸付などとあわせて、お住まいの市区町村の社会福祉協議会で相談をしておくとよいでしょう。

求職者支援資金融資

ここからは、失業中・求職中の人が利用することのできる制度について解説します。

ハローワーク失業してしまった場合、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給する場合が多いですよね。

いっぽうで職業訓練を受講している人であれば、失業手当とあわせて職業訓練受講給付金を受け取れます。

求職者支援資金融資は、職業訓練受講給付金だけでは生活費が不足する人に融資を行う制度です。

具体的には以下のような人が対象になります。

求職者支援資金融資の対象になる人

以下の両方を満たす人

  • 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた人
  • ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた人
求職者支援資金融資要件確認書の交付要件
  • 貸付を希望する理由が適当と認められる
  • 貸付金を返済する意思があると認められる
  • 暴力団員ではない

職業訓練受講給付金の詳細な内容は以下のとおり。

貸付限度額 据置期間※1 貸付期間
月額5万円
または月額10万円
(配偶者などの有無により異なる)
訓練終了月(就職などにより訓練を途中で辞めた場合は、その日が属する月)の3か月後の末日 受講予定訓練の月数
返済期限 貸付利子 連帯保証人
訓練終了月の4か月後の末日以降、貸付日から5年以内
※貸付額が50万円以上の場合は10年以内
※ただし、最終弁済時の年齢は65歳
年3.0% 不要
ただし指定する信用保証機関の利用が条件

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。
失業手当や職業訓練受講給付金で生活を維持できない場合は、金融機関よりはるかに低利率で融資を受けられますので、ハローワークへ相談してみてください。

母子父子寡婦福祉資金貸付金

続いてひとり親世帯を対象とした公的融資について見ていきましょう。

ひとり親世帯は、子育てのためにフルタイムで働けない、離婚した配偶者から養育費が受け取れないなど、さまざまな事情で困窮しやすいと言われています。

そこでひとり親世帯を対象として貸付を行っているのが、母子父子寡婦福祉資金貸付金

母子父子寡婦福祉資金貸付金には、以下のとおりさまざまな場面で活用できる制度が用意されており、ひとり親世帯の強い味方です。

借入金の目的 制度の名称 大まかな内容 該当箇所にジャンプ
生活費 生活資金 ひとり親の生活を安定・継続させるための資金を融資 生活資金の解説を見る
住宅費 住宅資金 住宅の建設・購入・補修などに必要な資金を融資 住宅資金の解説を見る
転宅資金 転居に伴って住宅を借りるために必要な資金を融資 転宅資金の解説を見る
子どもの就学などにかかる費用 修学資金 子どもが高校・大学などに就学するための授業料・書籍代などを融資 修学資金の解説を見る
就学支度資金 子どもが小学校~大学に就学・修業する際の被服費などを融資 就学支度資金の解説を見る
就職などに必要な資金 技能習得資金 ひとり親などが起業や就職に必要な知識技能を習得するための費用を融資 技能習得資金の解説を見る
修業資金 ひとり親世帯などの子どもが起業や就職に必要な知識技能を習得するための費用を融資 修業資金の解説を見る
就職支度資金 親または子が就職するときに必要な被服・通勤用自動車などの購入資金を融資 就職支度資金の解説を見る
医療や介護を受けるのに必要な資金 医療介護資金 医療・介護の費用を融資 医療介護資金の解説を見る
事業資金 事業開始資金 新しく事業をはじめるのに必要な設備などの購入資金を融資 事業開始資金の解説を見る
事業継続資金 現在営んでいる事業の運転資金を融資 事業継続資金の解説を見る
子どもの結婚資金 結婚資金 ひとり親世帯の子どもの結婚資金を融資 結婚資金の解説を見る

まずは以下の解説を読んで、母子父子寡婦福祉資金貸付金が利用できそうな場合は、お住いの地方公共団体の福祉担当窓口に問い合わせてみてください。

生活資金

生活資金は、ひとり親などが生活を安定・継続できるよう生活費を融資する仕組みです。

具体的な対象は以下のとおりです。

生活資金の対象者
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 母子・父子福祉団体
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)
貸付対象になる資金
  • 知識技能を習得しているあいだの生活資金
  • 医療もしくは介護を受けているあいだの生活資金
  • ひとり親になって7年未満の人が生活を安定・継続するまで(生活安定期間)の資金
  • 失業中の生活を安定・継続するための資金

詳細な貸付の内容は以下のとおり。

貸付限度額 据置期間※1 貸付期間
  • 通常:月10万8,000円※2
  • 技能習得中:月14万1,000円
貸付事由の終了後6ヶ月※3
  • 技能習得:5年以内
  • 治療・介護:1年以内
  • 生活安定:独身になってから7年を経過するまで
  • 失業:離職の翌日から1年以内
返済期限 貸付利子 連帯保証人
  • 技能習得:20年以内
  • 医療・介護:5年以内
  • 生活安定:8年以内
  • 失業:5年以内
年3.0% 不要
ただし指定する信用保証機関の利用が条件

※1 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。
ひとり親が生計の中心でない場合や、子どもがいない寡婦、子どもの生計を維持していない寡婦は、月額7万2,000円。
3ヶ月相当額の一括貸付が可能。
生活安定期間中の養育費取得に必要な裁判費用について、129万6,000円を限度として貸付可能。
※3 技能の習得後、治療・介護の終了後、貸付期間の満了後

住宅資金

住宅資金は、住宅の建設・購入・補修・保全・改築・増築に必要な資金を融資する制度です。

対象者は以下のとおり。

住宅資金の対象者
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
  • 通常:150万円
  • 増改築:200万円
6ヶ月
返済期限 貸付利子 連帯保証人
  • 通常:6年以内
  • 増改築:7年以内
  • 保証人あり:無利子
  • 保証人なし:年1.0%
原則として不要

※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

転宅資金

転宅資金は、転居をするために住宅を借りる際の資金を融資する制度です。
対象者は以下のとおり。

転宅資金の対象者
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
26万円 6ヶ月
返済期限 貸付利子 連帯保証人
3年以内
  • 保証人あり:無利子
  • 保証人なし:年1.0%
原則として不要
※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

修学資金

修学資金は、高校・短大・大学・大学院などに子どもを就学させるための授業料・書籍代・交通費などを融資する制度です。

対象者は以下のとおり。

修学資金の対象者
  • 母子家庭の母が扶養する児童
  • 父子家庭の父が扶養する児童
  • 父母のない児童
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)が扶養する子

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
次の箇条書きのとおり 学校卒業後6ヶ月 就学期間中
返済期限 貸付利子 連帯保証人
20年以内
※専修学校(一般課程)は5年以内
無利子
  • 親への貸付:児童を連帯借受人とする(連帯保証人は不要)
  • 児童への貸付:親などを連帯保証人とする

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

修学資金の貸付限度額
  • 高校・専修学校(高等課程):月額5万2,500円
  • 高等専門学校
    1~3年:5万2,500円
    4~5年:115,000円
  • 専修学校(専門課程):月額12万6,500円
  • 短期大学:月額13万1,000円
  • 大学:月額14万6,000円
  • 大学院(修士課程):月額13万2,000円
  • 大学院(博士課程):月額18万3,000円
  • 専修学校(一般課程):月額52,500円

就学支度資金

就学支度資金は、子どもが就学・修業するために必要な衣類や履き物など購入費用を融資する制度です。
対象者は以下のとおり。

就学支度資金の対象者
  • 母子家庭の母が扶養する児童
  • 父子家庭の父が扶養する児童
  • 父母のない児童
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)が扶養する子

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
次の箇条書きのとおり 学校卒業後6ヶ月
返済期限 貸付利子 連帯保証人
  • 就学:20年以内
  • 修業:5年以内
無利子
  • 親への貸付:児童を連帯借受人とする(連帯保証人は不要)
  • 児童への貸付:親などを連帯保証人とする

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

就学支度資金の貸付限度額
  • 小学校:6万4,300円
  • 中学校:8万1,000円
  • 国公立高校等:16万円
  • 修業施設:28万2,000円
  • 私立高校等:42万円
  • 国公立大学・短大・大学院等:42万円
  • 私立大学・短大等:59万円

※高校以上は自宅外通学の場合の限度額を例示

技能習得資金

技能習得資金は、ひとり親や寡婦起業や就職に必要な知識・技能を習得するための資金を融資する制度です。
具体的な対象者は以下のとおり。

技能習得資金の対象者
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
  • 通常:月額6万8,000円
  • 運転免許:一括46万円
知識技能習得後1年 知識技能を習得する期間中5年以内
返済期限 貸付利子 連帯保証人
20年以内
  • 保証人なし:無利子
  • 保証人あり:年1.0%
原則として不要
※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

修業資金

修業資金は先に説明した技能習得資金と異なり、ひとり親世帯などの子どもが、起業や就職に必要な知識・技能を習得するための資金を融資する制度です。
具体的な対象者は以下のとおり。

修業資金の対象者
  • 母子家庭の母が扶養する児童
  • 父子家庭の父が扶養する児童
  • 父母のない児童
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)が扶養する子

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
  • 通常:月額6万8,000円
  • 運転免許:一括46万円
知識技能習得後1年 知識技能を習得する期間中5年以内
返済期限 貸付利子 連帯保証人
20年以内 無利子 親への貸付:児童を連帯借受人とする(連帯保証人は不要)
児童への貸付:親などを連帯保証人とする

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

就職支度資金

就職支度資金は、ひとり親もしくはその子どもが、就職のときに必要な衣服や履き物、通勤用自動車を購入する資金を融資する制度です。
具体的な対象者は以下のとおり。

就職支度資金の対象者
  • 母子家庭の母又は児童
  • 父子家庭の父又は児童
  • 父母のない児童
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
  • 通常:10万5,000円
  • 自動車:34万円
1年
返済期限 貸付利子 連帯保証人
6年以内
  • 親への貸付・保証人あり:無利子
  • 親への貸付・保証人なし:年1.0%
  • 児童への貸付:無利子
親への貸付:原則として不要
※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要
児童への貸付:親などを連帯保証人とする

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

医療介護資金

医療介護資金は、1年以内の治療や介護を受けるための資金を融資する制度です。
具体的な対象者は以下のとおり。

医療介護資金の対象者
  • 母子家庭の母又は児童(介護の場合は児童を除く)
  • 父子家庭の父又は児童(介護の場合は児童を除く)
  • 寡婦

貸付内容の詳細は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
医療:34万円
※とくに生活が困難な場合は48万円介護:50万円
医療または介護終了後6ヶ月
返済期限 貸付利子 連帯保証人
5年以内
  • 保証人あり:無利子
  • 保証人なし:年1.0%
原則として不要

※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

事業開始資金

ひとり親などのうち事業を営む人に向けては、事業開始資金・事業継続資金の2つの制度があります。

事業開始資金は、新たに軽飲食店や小売業などの事業を開始するときに、必要な設備・什器・機械などの購入資金を融資するものです。
対象者は以下のとおり。

事業開始資金の対象者
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 母子・父子福祉団体
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)

詳細な融資の内容は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
  • 個人:326万円
  • 団体:489万円
1年
返済期限 貸付利子 連帯保証人
7年以内
  • 保証人あり:無利子
  • 保証人なし:年1.0%
原則として不要
※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

いっぽうすでに事業を継続している人は、次に説明する事業継続資金の対象になります。

事業継続資金

事業継続資金は、現在営んでいる事業を継続するため、必要な商品や材料などを購入する運転資金を融資するものです。
対象者は以下のとおり。

事業継続資金の対象者
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 母子・父子福祉団体
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)

詳細な融資の内容は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
  • 個人:163万円
  • 団体:163万円
6ヶ月
返済期限 貸付利子 連帯保証人
7年以内
  • 保証人あり:無利子
  • 保証人なし:年1.0%
原則として不要
※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

結婚資金

結婚資金は、ひとり親世帯の子どもが結婚する際に必要な資金を融資する制度です。
具体的な対象者は以下のとおり。

結婚資金の対象者
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦(夫と離婚または死別した独身女性)

詳細な融資の内容は以下のとおりです。

貸付限度額 据置期間 貸付期間
31万円 6ヶ月
返済期限 貸付利子 連帯保証人
5年以内
  • 保証人あり:無利子
  • 保証人なし:年1.0%
原則として不要
※ただし単独での償還が困難と判断される場合などは必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。
以上が母子父子寡婦福祉資金貸付金の解説でした。

ひとり親世帯に対しては、非常に豊富な融資の制度が用意されていることがおわかりいただけたと思います。

利用条件に該当する方は、まずお住いの地方公共団体の福祉担当窓口にご相談ください。

【生活福祉資金貸付】不動産担保型生活資金

社会福祉協議会が運営する生活福祉資金貸付のひとつとして、低所得の高齢者世帯に対し自宅などの不動産を担保に融資を行うのが、不動産担保型生活資金の制度です。

不動産担保型生活資金は、通常の低所得者向け貸付と、困窮しているのに自宅を所有しているため生活保護を受けられない人のための貸付に分かれています。

通常の不動産担保型生活資金

通常の不動産担保型生活資金は、低所得の高齢者世帯に対して、不動産を担保として生活資金を融資する仕組みです。

具体的な貸付内容は以下のとおり。

貸付限度額 貸付期間 据置期間※
  • 土地の評価額の70%程度
  • 月30万円以内
借受人の死亡時までの期間または貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間 契約の終了後 3月以内
返済期限 貸付利子 連帯保証人
据置期間終了時 年3%または長期プライムレートのいずれか低い利率 必要

※推定相続人のなかから選任

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

不動産担保型生活資金の特徴は、借入をした本人が亡くなった後に、不動産を処分するなどして相続人が返済することが前提になっている点です。

貸付元利金が貸付限度額を上回らない限りは、本人の存命中に返済の義務がないため、生活に困っている高齢者の方には非常に心強い制度でしょう。

不動産担保型生活資金についても、市区町村の社会福祉協議会が相談窓口になっています。

要保護世帯向け不動産担保型生活資金

生活に困窮している人のなかには、自宅を所有しているために生活保護を受けられない人もいます。

こうした人に生活資金を融資するのが、要保護世帯向の不動産担保型生活資金です。

具体的な貸付内容は以下のとおり。

貸付限度額 貸付期間 据置期間※
  • 土地及び建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)
  • 生活扶助額の1.5倍以内
借受人の死亡時までの期間または貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間 契約の終了後 3月以内
返済期限 貸付利子 連帯保証人
据置期間終了時 年3%または長期プライムレートのいずれか低い利率 不要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

基本的な仕組みは通常の不動産担保型生活資金と変わりません。

いっぽうで貸付限度額の算定基準に建物の評価額も含んでいる点や、連帯保証人が不要な点で、より借り入れする人に有利な内容になっています。

なお貸付元利金が貸付限度額を上回った場合は、担保にしていた自宅を売却し、生活保護が適用されるようになります。

【注意】年金担保貸付の廃止

高齢者を対象とした公的融資として、以前であれば、年金を担保に借り入れができる年金担保貸付の制度がありました。

しかし、年金担保貸付は令和4年3月末で制度が廃止されています。

年金受給者で生活にお困りの方は、まずお住まいの市区町村の社会福祉協議会に相談し、生活福祉資金貸付などの利用を検討しましょう。

FP四方裕伸
専門家からの一言
ゆうりFP株式会社 / 四方 裕伸

融資が必要なときには、まだ自分の置かれている立場や条件を把握していない人、勘違いしてしまう人が多く、申し込みの期日を逃してしまうケースが多いです。

自分で決めつけず、市役所や融資窓口に問い合わせてみましょう。

公的融資には必ず時間や手間がかかるわけではありません。

自分で事前に融資必要書類一覧に書かれているものをわかる範囲でしっかりそろえる人は、面談の時間や回数は短く、融資実行も最短です。

「自分なりに必ずできる範囲で一生懸命書類を準備する。」手間を惜しまなければ、公的融資の担当者は必ず味方になってくれるでしょう。

学費・教育費に使える制度

お子さんが進学するとき、奨学金を借りる場合も少なくありませんが、将来の負担はなるべく減らしてあげたいですよね。

ここでは、進学などにかかる費用に対して利用できる公的融資を2つ紹介します。

進学などにかかる費用に使える公的融資
制度名 こんな場合におすすめ
教育一般貸付(国の教育ローン)
  • 保護者が子どもの教育費を借り入れたい
  • 学費だけでなく留学費用や教材費などさまざまな用途に使いたい
  • 教育費に余裕を持ちたい
教育支援資金(生活福祉資金貸付)
  • 就学・修学する本人が借り入れたい
  • 奨学金が支給されなかった
  • 利息をかけたくない

教育一般貸付(国の教育ローン)

教育一般貸付(国の教育ローン)は、子どもの教育費を保護者に融資する、日本政策金融公庫の制度です。

教育一般貸付では、子ども1人につき350万円まで(自宅外通学・5年以上の大学・大学院・海外留学の場合は450万円まで)の融資が受けられます。

教育一般貸付は以下の点から、多くの世帯に利用しやすい公的融資と言えるでしょう。

メリットをひとつずつ見ていきましょう。

比較的世帯年収が高い世帯でも利用できる

教育一般貸付では利用できる世帯年収の上限が、以下のとおり決められています。

教育一般貸付の対象者
子どもの人数 世帯年収(所得)の上限額※1
1人 790万円(600万円)※2
2人 890万円(690万円)※2
3人 990万円(790万円)
4人 1,090万円(890万円)
5人 1,190万円(990万円)

※1 かっこ内の金額は事業所得者の場合の所得上限額
※2 一定要件を満たす場合、990万円(790万円)まで緩和

年収の制限があるとはいえ、子どもが1人の場合でも年収790万円まで利用ができるので、多くの世帯が利用できる制度と言えます。

学費以外に留学費用や教材などさまざまな用途に利用できる

教育一般貸付の使いみちは以下のとおりです。

教育一般貸付を使える用途
  • 学校納付金(入学金・授業料・施設設備費など)
  • 受験費用(受験料・受験時の交通費・宿泊費など)
  • 在学のため必要となる住居費用(アパート・マンションの敷金・家賃など)
  • 教科書代・教材費・パソコン購入費・通学費用・修学旅行費用・学生の国民年金保険料など
  • 融資金にかかる保証料

進学・教育に関わるものであればほとんど何にでも使えると言っていいほど、幅広い用途に使えるのがおわかりいただけると思います。

入学金や受験費用など、入学前の費用にも使えるのが嬉しいですね。

金利が年2.40%と低い

教育一般貸付の金利は、他の金融機関の教育ローンと比較しても、以下のとおり有利な金利となっています。

金利
教育ローン名 金利(実質年率)
教育一般貸付 年2.40%(固定金利)
※交通遺児家庭・母子父子家庭・年収200万円以内の世帯・年収500万円以内で子ども3人以上の世帯は年2.00%
三井住友銀行の教育ローン 年3.475%(変動金利)
みずほ銀行 年3.475%(変動金利)
年4.70%(固定金利)
イオン銀行 年2.90%~年3.90%(変動金利)

以下のように経済的に苦しい状況の世帯には、さらに金利が年2.0%まで引き下げられるのもポイントです。

金利引下げの対象
  • 交通遺児家庭
  • 母子父子家庭
  • 年収200万円以内の世帯
  • 年収500万円以内で子ども3人以上の世帯

お子さんに経済的な負担を与えずに進学させてあげたい、という保護者の方は、ぜひ教育一般貸付の利用を検討してみてください。

教育支援資金(生活福祉資金貸付)

生活費・住居費の項目でも説明した生活福祉資金貸付には、低所得世帯の子どもの就学・入学にかかる経費を融資する教育支援資金の制度があります。

教育支援資金のメリットはなんと言っても、完全に無利子であるという点。

奨学金を借りる場合、高い学力が求められる第一種奨学金を除けば、卒業後から利息が加算されます。

所得の都合でご家庭を頼るのが難しい学生の方は、ぜひ教育支援資金について、お住まいの市区町村の社会福祉協議会に相談してみるとよいでしょう。

教育支援資金は2つの区分に分かれているので、詳しい貸付内容は以下の2つの表をご覧ください。

教育支援費

教育支援資金の2区分のうち教育支援費は、高校・大学・高等専門学校で必要になる教材費や通学費など、月々の費用を貸し付ける制度です。

詳しい貸付内容は以下のとおり。

貸付限度額 貸付期間 据置期間
  • 高校:月3万5,000円以内
  • 高専:月6万円以内
  • 短大:月6万円以内
  • 大学:月6万5,000円以内
在学中

卒業後6月以内

返済期限 貸付利子 連帯保証人
据置期間経過後20年以内 無利子 原則不要

※世帯内で連帯借受人が必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

修学支援費

教育支援資金の2区分のうち修学支援費は、高校・大学・高等専門学校に入学する際の入学金や教材費など、初期費を融資する制度です。

詳しい貸付内容は以下のとおり。

貸付限度額 貸付期間 据置期間
50万円以内

卒業後6月以内

返済期限 貸付利子 連帯保証人
据置期間経過後20年以内 無利子 原則不要

※世帯内で連帯借受人が必要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

事業費に使える制度

公的融資には一般の個人を対象としたものだけでなく、事業者に貸し付けを行うものもあります。

ここでは事業者を対象とする日本政策金融公庫の融資について、開業資金と事業資金それぞれに使えるものをご紹介します。

開業資金に使える融資

これから事業をはじめる方が開業資金の調達に利用するなら、新規開業資金が対象になるでしょう。

新規開業資金は新たに事業をはじめる、もしくは事業開始後おおむね7年以内の人を対象としています。

新規開業資金の内容は以下のとおりです。

融資制度名 融資限度額 据置期間
新規開業資金 7,200万円

5年以内

返済期限 利率(年率) 担保・保証人
  • 設備資金:20年以内
  • 運転資金:10年以内

※据置期間を含む

基準利率1.35%~3.80%

※担保の有無などで変動
※一定要件を満たす場合、特別利率へ引き下げ

申込者の希望を聞き取り相談

※創業当初は原則として担保・保証人不要

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。
新規開業資金には以下のメリットがあります。

新規開業資金のメリット
  • 創業当初の場合は原則として担保・保証人が不要
  • 創業当初の場合は利率が一律0.65%引き下げ
  • 自己資金が不要

新規開業資金では新規開業の場合または事業開始後税務申告を2期終えていない場合は、原則として無担保・無保証人で融資が受けられ、利率も一律0.65%引き下げられます。

また自己資金を用意するのが難しい方も融資を受けられる、というのも魅力です。

自分が融資を受けられるか不安な方も、まずは日本政策金融公庫に相談してみるとよいでしょう。

なお次に解説する日本政策金融公庫の一般貸付は、創業後まもない事業者の方でも利用できるため、あわせてご覧ください。

事業資金に使える融資

継続した事業の資金を調達したい方が幅広く利用できるのは、日本政策金融公庫の一般貸付です。

一般貸付の内容は以下のとおり。

融資制度名 融資限度額 据置期間
  • 運転資金
  • 設備資金
  • 特定設備資金
4,800万円
  • 運転資金:1年以内
  • 設備資金:2年以内
  • 特定設備資金:2年以内
返済期限 利率(年率) 担保・保証人
  • 運転資金:5年以内(とくに必要な場合7年以内)
  • 設備資金:10年以内
  • 特定設備資金:20年以内

※据置期間を含む

年1.35%~3.80%(基準利率)

※返済期間や担保の有無に応じて特別金利へ引き下げ

申込者の希望を聞き取り相談

※ 据置期間:元本返済が猶予される期間。据置期間内は利息だけを返済。

創業当初の事業者も含め、ほとんどの業種の事業者が利用できるものになっています。

このほか特定の要件に当てはまる場合に利用できる特別貸付も多数あるので、自分の事業に合うものがないか、一般貸付の利用を相談する際にあわせて相談してみましょう。

FP四方裕伸
専門家からの一言
ゆうりFP株式会社 / 四方 裕伸

各種申し込みでは、初回相談の際が一番重要です。

メディアや専門家アドバイスの情報を信じて知ったかぶりをすることが一番危険です。

融資する側の受付担当者は、「基本として、この人に融資すると、将来ちゃんと社会の役に立つかどうか」だけを見ているのです。

つまり助けてあげたいから、必ず返すと言っているから貸すということは公的融資ではできないのです。

言い換えれば、社会の役に立つことを約束できれば借りやすいのです。

急いで融資を受けたい場合

ここまで個人・事業者それぞれが利用できる公的融資をご紹介しました。

公的融資は多くの場合、融資までに時間がかかりますし、用意する書類も多岐にわたります

しかし、どれほど急いでいても、非協力的な対応をすれば手続きが遅れるばかりか、適切な相談対応も期待できなくなります。

少しでもスムーズに相談や手続きを進めるためには、何より窓口担当者と協力的な関係を築き、親身に対応してもらうことが重要です。

いっぽう今日にでもお金が必要という場合は、大手消費者金融の利用も検討しましょう。

大手消費者金融は最短即日融資が受けられるうえ、初回30日程度の無利息期間を設けているところもあります。

公的支援・融資が受けられるまでのつなぎとして利用するのも、ひとつの選択肢です。

FP四方裕伸
専門家からの一言
ゆうりFP株式会社 / 四方 裕伸

自由度の高いカードローンは公的融資の補助として利用するには便利。

期間限定なら支出も抑えられます。

プロミスバナー

限度額 金利 審査時間 融資時間
最大500万円※1 年4.5%~17.8% 最短3分※2 最短3分※2
学生 パート
アルバイト
職場に
電話なし
郵送物なし
※3 原則、電話の在籍確認なし
  • プロミス
    がおすすめな方
  • プロミス
    が不向きな方
  • 勤務先に電話連絡されたくない方
  • 最短3分で借りたい方
  • 本審査前にいくら借りられるか知りたい方
  • 万が一に備えて無利息サービスのあるカードローンと契約したい方
  • 過去に延滞履歴のある方
  • すでに年収の3分の1程借り入れがある方
  • SMBCグループの商品の審査に落ちた方
上記に当てはまる場合でも、審査に通過できないと決まったわけではありません。
まずは公式サイトの借入診断をお試しください。

※1 新規契約のご融資上限は、本審査により決定となります。
※2 お申込み時間や審査によりご希望に添えない場合がございます。
※3 高校生(定時制高校生含む)はお申し込みできません。
※3 18、19歳の方は契約にいたりづらい可能性があります。
※3 申込時の年齢が19歳以下の場合は、収入証明書類の提出が必須です。

アコムバナー

限度額 金利 審査時間 融資時間
最大800万円 年3.0%~18.0% 最短20分※1 最短20分※1
学生 パート
アルバイト
職場に
電話なし
郵送物なし
※2 ※3
  • アコム
    がおすすめな方
  • アコム
    が不向きな方
  • 最短20分で借りたい方
  • 利用者数の多いカードローンを探している方
  • 会社に在籍確認されたくない方
  • 過去にローン・クレカの滞納・延滞をした方
  • 年収の3分の1に近い借り入れがある方
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループの商品の審査に落ちた方

※1 お申し込み時間や審査によりご希望に​添えない場合があります。​
※2 10代申込不可。
※3 原則、電話での確認はせずに書面やご申告内容での確認を実施。

SMBCモビット公式バナー

限度額 金利 審査時間 融資時間
最大800万円 年3.0%~18.0% 最短10秒簡易審査 最短15分
学生 パート
アルバイト
職場に
電話なし
郵送物なし
※原則、電話連絡なし
  • SMBCモビット
    がおすすめな方
  • SMBCモビット
    が不向きな方
  • 30代~50代の方
  • カードローンの利用が会社や家族に知られたくない方
  • 簡易審査の結果を10秒で知りたい方
  • 消費者金融に抵抗がある方
  • 過去に延滞履歴のある方
  • 三井住友カードの商品の審査に落ちた方
ただし上記の場合でも、審査に通過できないと決まったわけではありません。 まずはお借入れシミュレーションをお試しください。

※申し込みの曜日、時間帯によっては翌日以降の取扱となる場合があります。

レイクALSAバナー

限度額 金利 審査時間 融資時間
最大500万円 年4.5%~18.0% 申し込み後最短15秒 Webで最短25分融資も可能※
学生 パート
アルバイト
職場に電話なし 郵送物なし
※一定の収入がある場合
  • レイク
    がおすすめな方
  • レイク
    が不向きな方
  • 長めの無利息サービスがほしい方
  • 最短15秒で審査結果が知りたい方
  • 会社に電話連絡されたくない方
  • すべての手続きをWEBで完結したい方
  • 過去に延滞履歴のある方
  • 新生フィナンシャルグループの商品の審査に落ちた方
ただし上記の場合でも、審査に通過できないと決まったわけではありません。 まずはお借入れシミュレーションをお試しください。

※21時(日曜日は18時)までのご契約手続き完了(審査・必要書類の確認含む)で、当日中にお振込みが可能です。一部金融機関および、メンテナンス時間等を除きます。

FP四方裕伸
専門家からの一言
ゆうりFP株式会社 / 四方 裕伸

公的融資は対象者を絞っているので金利は安く、カードローンは対象者の間口が広く、自由度が高いので金利は高く設定されています。

金利設定に理論上は損得の差はありません。

だから公的融資対象者に当てはまる人ならベースは公的融資を使い、補助でカードローンを利用することが一般的です。

まとめ

本記事の内容をまとめると以下のとおりです。

本記事の内容まとめ
  • 生活費・住居費にお困りの方は自立支援機関と社会福祉協議会に相談しましょう
  • 学費・教育費にお困りの保護者の方は日本政策金融公庫に相談しましょう
  • 学費・教育費をご家庭に頼れない方は社会福祉協議会に相談しましょう
  • 事業資金でお困りの方は日本政策金融公庫に相談しましょう

おそらくみなさんが思うより、数多くの公的融資があったと思います。

それぞれの制度は複雑なので、すべて自分で判断するのは難しいかもしれません。

いずれも相談窓口は公的機関なので、安心して気軽に相談してみてくださいね。