「個人事業主は融資の審査で不利」
「個人事業主はローンを組むことができない」
こんな話を聞いて、愕然としている個人事業主の方もいらっしゃることでしょう。
自由な働き方を選択したはずなのに、こと資金調達に関しては、会社員の方よりも選択肢が少なくなってしまうのです。
しかし、だからといって「個人事業主が100%ローンを組めない」というわけではありません。
安定した収入を示して、ちゃんと返済できることを証明すれば十分融資を受けられる可能性はあります。
-
【ライター】嶋崎 -
当サイトを運営している嶋崎と申します。
わたしは経営の経験はありませが、サイト運営に携わり約2年が経過するなかで、事業主のお金の悩みは特有であることを勉強してきました。
たとえば事業主へ実際にインタビューをしたり、実際にセミナーに参加したりするなどして、資金調達の流れやどのようなときにお金の不安を感じるのかを勉強しています。
資金繰りの悩みを解決するためのサービスをすべてを網羅するのは大変です。
一から資金繰りの悩みを調べずとも、「ビズローンで解決できた」が叶うように、全力でサポートします。
個人事業主がローンを組めない理由
働き方が多様化し、企業人であるサラリーマン以外にフリーランスとして独立する人も多くなりました。
一方で、個人事業主が事業資金繰りのために融資やローン審査を受けようとすると、融資を断られてしまうことも少なくありません。
まず、個人事業主が融資やローンの審査で不利とされる理由を解説します。
収入が安定していないから
銀行などの金融機関は、融資やローンを受ける条件として「安定した収入のある方」としていることが多いです。
企業に属している会社員は、退職しない限り毎月一定の安定した収入が確保されています。
一方で個人事業主は業種や事業内容によっては所得が季節、時期で変動することも少なくありません。
年収に換算すれば会社員と同等、またはそれ以上の収入があるとしても、月単位で見ると会社員を下回る収入しか得られないこともあるのです。
月単位で変動する収入は「安定した収入」としてみなされません。
事業内容によっては、融資やローンの返済が滞る可能性を個人事業主は持っています。
よって、融資の時点では会社員よりも不利とされているのです。
個人事業主としての与信を確保しておけば可能性も
会社員は「安定した収入」が信用となり、融資やローン契約審査がおります。
よって、信用に値する与信を確保しておくと個人事業主でも融資やローンの審査が下りる可能性は十分にあります。
個人事業主が与信を確保するために、やっておくべきことは以下の通りです。
・クレジットヒストリーをきれいに保つ
・税金の滞納をしない
確定申告で嘘をかかない
所得を実際の金額よりも低くする、架空の経費を発生させるなどの脱税行為はせず、確定申告は実際の事業収入や経費、税額などを記載するようにしましょう。
フリーになったばかりで「確定申告をしない」というのはもちろん厳禁です。
以外に忘れがちなのが、今まで専業主婦などで扶養に入っていた人が、扶養から抜けて個人事業主になった場合です。
扶養を抜けるべき収入がある、または個人事業主になった時点で扶養家族として社会保険などに入れなくなるケースがあるにもかかわらず、そのまま扶養に入ってしまっている場合も。
扶養を抜けた時点から、さかのぼって支払うべき税金や健康保険料などを徴収される場合が多いので、確定申告の必要性とともに、扶養状態も把握しておきましょう。
クレジットヒストリーをきれいに保つ
個人としてのクレジットカード履歴をきれいな状態にするのも、個人事業主としての与信につながります。
支払いの遅延がない、複数社から分割やリボを借り入れていない、など計画的なクレジットカードの使用状況を保っておきましょう。
税金の滞納をしない
最後に、税金を滞納しないことです。
個人として納めるべき市県民税といった住民税はもちろん、事業主として納める所得税なども滞納せず、期日までにしっかりと納めるようにしましょう。
以上3つのポイントを守り、3年間継続して事業を営んでいれば、融資のチャンスは十分あることを覚えておきましょう。
事業で利用できるローン
次に、事業資金を調達するために利用できる融資を紹介します。
個人事業主が事業で利用できるローンは以下の通りです。
・信用保証協会の保証付き融資
・消費者金融のビジネスローン
これらの特徴を順にみていきましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、日本政府の政策に従い、政策金融を実施する機関です。
日本政府が100%出資する金融機関であり、「セーフティネット機能」「日本経済成長と発展への貢献」「地域活性化への貢献」の3つの役割を果たしています。
国民生活事業、農林水産事業、そして中小企業をサポートする中小企業事業の3つの事業を展開し、個人事業主への事業資金融資も行っています。
日本政策金融公庫の融資を受けている企業は約4.4万企業、平均融資額は102百万円にのぼります(2019年3月現在)
さらに融資の約5割が期間5年超の長期資金融資になっているので、資金計画が立てやすいメリットもあります。
事業資金融資だけでなく、経営に役立つアドバイスやビジネスパートナーとのマッチング支援、企業経営に役立つトピックスの提供などの経営支援サービスも行っています。
信用保証協会の保証付き融資
あらかじめ信用保証協会の保証が付与されている融資が、保証付き融資です。
信用保証協会とは
個人事業主をふくめた小規模事業者や中小企業、実績のないスタートアップ企業などは、金融機関から融資を受けようとしても、信用がないため受けられない場合も多いです。
これら小規模事業者や中小企業と金融機関の間に立ち、保証人となって融資を受けるサポートをするのが【信用保証協会】です。
万が一融資を受けた小規模事業者や中小企業の返済が滞った場合に、信用保証協会が立て替え払いを行います。
保証付き融資の条件
信用保証協会の保証付き融資を受けるには、【規模】【業種】【区域・業歴】などの条件を満たしたうえで、金融機関または管轄の信用保証協会に融資の申し込みを行うと利用できます。
消費者金融のビジネスローン
消費者金融で提供しているビジネスローンも、事業用資金調達のために利用できます。
消費者金融のビジネスローンは審査が下りるスピードが速いため、即効性の高さがメリットです。
さらにビジネスローンの中には、AGビジネスサポートのように、開業1年でも融資が受けられる商品もあります。
※法人のお客様:75歳まで、個人事業主のお客様:69歳まで
ビジネスローンは高金利がネック
ただし、消費者金融のビジネスローンはほかの融資方法よりも高金利の傾向にあります。
よって、長期的、かつ多額の融資をビジネスローンで利用するのは金利返済リスクが高くなります。
個人事業主なら、ビジネスローンを少額かつ短期間で返済することを前提とした、つなぎ融資として活用するのがおすすめです。
ビジネスローンは総量規制の対象外
なお、消費者金融は財務局または営業区域の各地方自治体に登録している【貸金業者】にあたります。
貸金業者からの融資を受ける場合、2010年6月18日に改正となった貸金業法に則り、借りすぎおよび貸しすぎを防止するために貸金業者を規制する、【総量規定】の仕組みができました。
総量規定の対象となるのは、貸金業者の貸し付け商品の中でも【個人向け貸し付け】のみです。
よって事業用の資金は消費者金融からの融資でも、総量規制の対象外になります。
プライベートで利用できるローン
個人事業主が事業資金目的ではなく、プライベートで融資を受けたい機会は会社員と同様多くあります。
個人事業主がプライベートで利用できるローンは、以下のものがあります。
・カーローン
・銀行カードローン
・消費者金融のカードローン
これらを利用するシーンや特徴を順にみてみましょう。
住宅ローン
個人事業主がマイホームを新築する、または買い替えるときに利用するのが住宅ローンです。
マイホームを建てるには莫大な資金が必要なため、ほぼローンを利用して分割払いをすることになります。
住宅ローンの中でも代表的なのが、住宅金融支援機構が提供している「フラット35」です。
フラット35とは
フラット35は、ローンの支払いが終わるまでずっと金利が変わらない金利固定型の住宅ローンです。住宅ローンを利用するシーンや用途に応じて複数の商品があります。
フラット35 | 借入時に金利が固定され、支払いが終わるまで金利が固定 |
---|---|
フラット35S | フラット35を既に申し込んでいる人が、省エネ性、耐震性などの質の高い住宅を取得するさいに、借入金利を一定期間引き下げる制度 |
フラット35 子育て支援型 ・地域活性化型 |
子育て支援や地域活性化に関する取り組みを積極的に行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、住宅取得に対する地方公共団体による補助金交付などとセットにして、フラット35の一定期間借入金利引き下げる制度 |
フラット35リノベ | 中古住宅取得と、機能向上のためのリフォーム(リノベーション)を使用用途とした場合に借入金利を引き下げる |
カーローン
自動車を購入するときに使用するローンです。
個人事業主の場合、事業で利用するのか、プライベートで利用するのかによって融資が受けられるかどうかの結果が変わってきます。
法人名義の車はローンで買える?カーローン利用の注意点と仕分方法
銀行カードローン
銀行に口座がある、口座がない場合はカードローン口座を開設することで利用できる、銀行のカードローンです。
担保や保証人が不要、使い道も原則自由、借り入れや返済も店舗だけでなくATMから可能といったメリットがあります。
消費者金融のカードローン
銀行よりも審査が早く、即日入金も可能なスピーディな融資が受けられるのが、消費者金融のカードローンです。
ただし銀行カードローンよりも金利が高い傾向にあり、総量規定の対象になることに注意が必要です。
融資審査で注目されるポイント
個人事業主が実際に融資の審査を受けたときに、注目されるポイントは以下の通りです。
・在宅確認の電話
融資の申し込みを行ったら無事に審査が通るように、2点を確認しておきましょう
3期分の所得証明
ここで気を付けなければいけないのは、会社員よりも個人事業主の審査の方が厳しめであることです。
会社員が個人的にローンを組む場合は、前年度の収入証明があれば問題なく審査が通る場合が多いのに対して、個人事業主は収入の安定性を示すために3期分の所得証明が求められることを覚えておきましょう。
所得証明は確定申告書がベスト
個人事業主にとっての所得証明は、確定申告書が該当します。
確定申告書を提出する際に、控えと切手を貼った返信用封筒を用意しておくと税務署の確認印を押して後日返送してもらえます。
所得証明としては、自分で作成した確定申告書のコピーでも問題ありませんが、税務署の確認印があればより信ぴょう性が高まります。
確定申告書提出時、控えと返信用封筒を用意して控えを返送してもらうようにしましょう。
在籍確認の電話には必ず対応
カードローンなどを申し込んだ場合、在籍確認の電話をされることが多いです。
会社員の場合でも、ローン申し込み時申請した企業で実際に働いているのか確認するため、融資先から在籍確認の電話をされることは珍しくありません。
個人事業主の場合も、事業実態の有無を確認するために在籍確認の電話がかかってきます。
事業実態があるのを証明するために、必ず融資元からの在籍確認の電話は対応するようにしましょう。
不明な電話番号からの着信は取らないとしている人でも、あらかじめ融資元の電話番号を登録しておくなどして、かかってきた電話に対応できる体制を整えておくのがおすすめです。
まとめ
個人事業主はローンが組めないと言われているのは、収入が安定していないと思われているからです。
つまり収入が安定しており、返済資源の確保ができることを証明すれば、資金調達ができないわけではありません。
一般的な会社員に比べると、厳しい状況であるとは思いますが、最近では個人事業主や中小企業の経営者を対象とした融資商品も出てきています。
「個人事業主だからローンは組めない…」とあきらめるのではなく、自分が活用できる融資方法を良く学び、最良の選択肢が選べるように備えておきましょう。