社用車を所有することで税金対策ができる。
そんな風に聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
たしかに、社用車は会社の資産になりますので、減価償却することで購入費を経費にすることができます。
ただし、何も考えずにただ車を買って経費にするだけでは、なんの節税効果も生み出しません。
社用車で節税するにもいくつか押さえておきたいポイントがあります。
今回は経営者なら知っておきたい社用車の経費と節税のポイントを紹介します。
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【ライター】嶋崎 -
当サイトを運営している嶋崎と申します。
わたしは経営の経験はありませが、サイト運営に携わり約2年が経過するなかで、事業主のお金の悩みは特有であることを勉強してきました。
たとえば事業主へ実際にインタビューをしたり、実際にセミナーに参加したりするなどして、資金調達の流れやどのようなときにお金の不安を感じるのかを勉強しています。
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一から資金繰りの悩みを調べずとも、「ビズローンで解決できた」が叶うように、全力でサポートします。
社用車の所有で発生する経費
「社用車を購入する場合、どこまで経費にできるかわからない」
そう不安な方も多いのではないでしょうか。
車を購入する場合、車両そのものの代金だけではなく、それ以外にもいくつか経費が発生します。
ただし、車を購入するかリースにするかで経費の計上の仕方が変わります。
ここでは、社用車と購入する場合とリースする場合に分けてどこまで経費に計上できるか説明します。
購入する場合
社用車を購入する場合、本体だけではなく、その購入に関わる費用も経費として計上できます。
具体的には、以下のものが経費として計上できます。
・諸費用
・税金
・保険料
・ローンの場合の利息
本体価格
車両本体の代金は経費として計上できます
ただし、車両本体の代金を一括で経費として計上できない点には注意が必要です。
なぜなら、減価償却費用として計上しなければいけないから。
減価償却費用とは車など、ある程度長い期間使用するものに対して、その耐用年数に応じて経費を分割で計上しなければいけない費用のことです(詳しくは後述します)。
そのため、車両の本体価格を一括で経費計上できないため、その点には気をつけましょう。
諸費用
車を購入するときにかかる諸費用は経費として計上できます。
具体的には以下の費用があります。
・車庫証明取得代行手数料
・自動車リサイクル料
・ナンバープレート料
これらの費用は購入する時の初回のみ発生し、それ以降は発生しない経費です。
税金
自動車を購入する場合、発生する税金は3つあります。
それぞれの税金と、税金が発生する期間をまとめると、以下の通りです。
自動車税 | 毎年 |
---|---|
自動車重量税 | 中古車で2年、新車で3年 |
自動車取得税 | 取得時のみ |
自動車取得税は、消費税が10%に引き上げられたときに廃止になる予定です。
これらの税金の勘定科目は租税公課として計上します。
保険料
自動車を購入するときにかかる保険に関する費用も経費として計上できます。
自動車に関わる保険として、例えば以下のものが挙げられます。
・任意保険
任意保険は、必要に応じて加入を検討すれば良いですが、自賠責保険は、公道を走る場合には必ず加入しなければいけません。
ローンの場合の利息
自動車を購入するときにかかったローンも経費として計上できます。
ただし、支払い金額の内利息にあたる部分のみしか計上できず、全額計上できない点には注意しましょう。
また、本体価格は減価償却費用として計上し、それぞれ計上方法が異なる点にも注意が必要です。
リースで借りる場合
車をリースで借りる場合、その費用の全てを経費として計上できます。
車を全て計上するというシンプルな計上方法で経費節約効果は十分に期待できるでしょう。
リースで車を借りる場合、3年から5年ほどの期間、月々のリース料を支払います。
リースにかかる費用の中には、車を購入した場合にかかる自動車税、自賠責保険、車検費用などが含まれており、減価償却する必要がありません。
月々の支払い金額がシンプルなため、資金計画が立てやすく管理の手間が少ないことがメリットでしょう。
しかし、途中解約ができず購入するよりは、全体の費用が割高になる点は注意しましょう。
経費に計上できても支払うお金が大きくなることで、会社の利益が減ってしまっては元も子もありません。
経費節約効果だけではなく、最終的に本当にリースにはメリットがあるのか、その点は慎重に判断してください。
減価償却とは
車を購入する場合、本体価格は、減価償却費用として計上しなければいけません。
減価償却費用とは車など、ある程度長い期間使用するものに対して、その耐用年数に応じて経費を分割で計上しなければいけない費用のことです。
ここでは減価償却費用について、法定耐用年数と経費の計上方法について解説します。
社用車の耐用年数は法律で以下のように定められています。
社用車の法定耐用年数 | |
---|---|
普通車の新車 | 6年 |
軽自動車の新車 | 4年 |
ちなみに、中古車の場合には、法定耐用年数を超えているかどうかで計算方法が変わります。
法定耐用年数を超えている場合、法定耐用年数の20%相当の期間が耐用年数になります。
普通車の中古車で7年目のものを購入した場合、以下の計算式のようになります。
この場合、1年に満たない場合と2年以上の場合には切り捨て、1年以上2年未満の場合には繰り上げて2年の耐用年数となります。
法定耐用年数期間内の車の場合、その車の本来の法定耐用年数と超過した部分は法廷耐用年数の20%に相当する期間を加えたものになります。
細かい計算式は置いておくとして、普通車の場合の中古車の経過年数と耐用年数の関係をまとめると以下のようになります。
中古車の経過年数と耐用年数の関係(普通車) | |
---|---|
1年落ちの場合 | 5年 |
2年落ちの場合 | 4年 |
3年落ちの場合 | 3年 |
4年落ちの場合 | 2年 |
5年落ちの場合 | 2年 |
このように覚えておくと良いでしょう。
経費節約という観点で考えると、中古車で4年落ちのものを購入すると、2年で全額経費として計上できるため、節税効果が高くなりますよ。
実際に経費をどうやって計上するのか
減価償却費用として経費を計上する場合、勘定科目は車両運搬具減価償却費として計上します。
「費用はどうやって計上するの?」
「耐用年数で割れば良いの?」
そう疑問ではないでしょうか。
その費用を計算する方法は、定額法と定率法という2つの方法があります。
定額法の場合、毎年一定額を車両運搬具減価償却費として計上します。
これは月単位で計上するため、年度の途中で購入する場合、購入月から、決算月までの月数で割って出た数字をそれぞれの年次で経費として計上しましょう。
定率法は、残っている価格に対して一定の割合をかけながら計上していきます。
詳しい計算方法は複雑なため、割愛しますが、定率法は定額法と比べると、初年度が一番経費として費用を計上できる金額が大きくなり、徐々に少なくなっていくと、覚えれば良いでしょう。
節税のために社用車を所有するポイント
「社用車を持つことで、節税効果を高めたい」
「でも節税効果を高めるにはどうしたらよいかわからない」
そう考える経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
社用車の所有は、王道とも言える節税方法です。
しかし、そのポイントをしっかりと抑えなければ、経費が大きくなってしまいむしろ損失になってしまうことも。
具体的には、以下の点を抑えておきましょう。
・リースよりも購入がおすすめ
・狙いは4年落ちの中古車
・法人代表者は高級車も選択肢
会社名義の車を所有する
社用車として経費計上する場合には、会社名義にしておきましょう。
会社名義にしておくことで、車にかかる減価償却費やその他の諸経費をまとめて経費として計上できます。
「個人の車を会社名義にしたい」
そのような方も中にはいるのではないでしょうか
その場合には、個人で所有する車を会社に売却する方法もありますよ。
売却価格は、安くても高くても問題になるため、適正価格を調べた上で計上しなければいけません。この場合査定をとって書類に残しておくのが、一番間違いない方法です。
ただし、公私混同していると思われると、法人名義の車として認められないため、あくまで事業でのみしか利用できません。
私用での利用は、税務署から指摘されやすい部分のため、私用でも使う場合には、運転日誌や運転記録を作成し、厳密に分ける必要があります。
リースよりも購入がおすすめ
節税目的で社用車を保有する場合、リースよりも社用車を購入する方がおすすめだと言えます。
なぜなら、リースの場合には以下のデメリットがあるからです。
・経費をまとめて計上できない
・一度契約すると、途中で解約できない
・事故などで使えなくなった場合の負担が大きい
リースのデメリットを考えると、社用車のリースはコストが高い割上にリスクも高いと言えるでしょう。
社用車リースによる節税のテクニック
ただし、節税テクニックのひとつとして、期末にリース契約の年払いをするという方法もあります。
期末にリース契約の年払いにすることで、期末でも1年分のリース代金を一括で経費計上できるため、その期の経費を大幅に抑えられますよ。
また、リース契約の場合、その費用の全てをそのまま経費にできるため、節税効果というより経費を抑えるという観点から、リースを選ぶケースもあります。
狙いは4年落ちの中古車
節税効果を高めたいのであれば、狙い目は4年落ちの中古車です。
4年落ちの中古車は、耐用年数が2年で済ませられます。
これを定率法で計算すると、その年に1円を残してほぼ全額経費として計上できるのです。
例えば、4年落ちで300万円の中古車を購入した場合、初年度で299万円以上経費として計上可能です。
節税効果を狙う場合には、最もおすすめできる方法だと言えるでしょう。
法人代表者は高級車も選択肢
「高級車やスポーツカーを社用車にしたい」
そんな方も中にはいるのではないでしょうか。
結論から言えば、業務に使っているのであれば、高級車でも社用車として認められます。
・取引先との接待で使用するため
このようなケースであれば、問題なく認められるでしょう。
ただし、高級車でも特に嗜好性が強いスポーツカーは、認められにくい傾向にあるため、避けた方が無難です。
高級車を社用車にするメリット
以上のポイントさえ抑えておけば、高級車を社用車にするメリットもあります。
具体的には以下の通りです。
・経費としての節税効果が高い
・初回の購入費のみで節税を続けられる
高額な高級車は、経費として計上できる金額も大きくなり、節税に与えるインパクトも絶大です。
また、高級車は価格が落ちにくいため、購入時とほとんど変わらない金額で売却できます。
その売却金額で新しい高級車を買い、その減価償却費を計上するというサイクルを繰り返すことも可能です。
以上の観点から、高級車に乗っている経営者も少なくありません。
とはいえ、税務署に社用車として認められないケースを心配するなら、税理士とよく相談しておくのが間違いないでしょう。
私用と社用の境界線
社用車を私用で使うと経費として認められないケースがあります。
「でも私用と社用の境界線が今ひとつわからない」
そんな方もいますよね。
社用車を保有するなら、嗜好性が高い車は避け、保管場所を自宅にしないことが無難です。
高級車を社用車にした場合きちんと事業で必要な合理的理由がないと、認められないケースがあり注意が必要だからです。
2ドアのスポーツカーなどは接待などでは使いにくく税務署から、合理的な理由が求められる可能性が高くなります。
また社用車でも保管が自宅である場合、私用を疑われ、税務署の監視が厳しくなる危険性が高いです。
ただし、いずれのケースでも、事業でそうする必要があるという理由が説明できれば、問題ありません。
ただ、ケースバイケースな側面も多く、不安な場合にはこちらも税理士とよく相談した方が良いでしょう。
個人事業主が社用車を保有するメリットはあるのか
「個人事業主だけど、社用車にして節税したい」
そう考える人もいるのではないでしょうか。
結論から言えば、個人事業主が節税目的で社用車を持つのはおすすめできません。
なぜなら、個人事業主が社用車を保有しても、その100%を経費に計上できず、出費の方が高くなってしまうからです。
個人事業主の場合、事業用とプライベート用の両面で使用することがほとんどで、車両に関わる費用の半分ほどしか経費として計上できません。
事業で使わざるを得ない場合は当然購入しなければいけませんが、経費削減の目的ではメリットがあるとは言えません。
そのため、”経費削減目的の社用車”を保有するのは避けた方が良いでしょう。
社用車による節税が向いている会社
「自分の会社で社用車を持った方が良いのか悩んでいる」
「社用車を持つことで、節税効果が高いのはどんな会社なのか知りたい」
そう疑問ではないでしょうか。
ここではどんな会社が社用車を持つことで、節税効果が高められるのかを紹介します。
社用車を持つのがおすすめの会社は、利益を上げられている会社と社長のステータスが影響しやすい会社の2パターンが考えられます。
・利益を上げられている会社
・社長のステータス性の影響が大きい会社
社用車は安定して利益が出てから保有しよう
まず社用車を購入する場合、当然ながらお金がかかります。
車自体は利益を生むものではないため、そのための費用を会社が持っても問題ないのかどうかまずは検討しましょう。
利益が十分に出ていないのに、社用車を購入して節税効果を持たせようとするのは本末転倒です。
社長自ら車で営業活動をする場合は社用車のメリットが高い
社長が自ら営業活動を行い、車での移動が多いというケースであれば、社用車を持つメリットもあるでしょう。
社長が営業活動をするのであれば、社用車が高級車であることは社長のステータス性を示す手段にもなるため、高級車であっても社用車として認められやすくなります。
以上のような条件を満たしていれば、社用車を保有することが、会社にとってのメリットを最大化できるはずです。
まとめ
社用車で節税対策をするのであれば、”4年落ちの高級車”を所有するのが効率の良い節税につながりそうです。
社用車による節税は、もはや税金対策の定番となっていますが、だからといって絶対にするべきとは言い切れません。
車を購入するのにもちろんお金が必要になりますし、社用車があるだけでキャッシュフローが改善されるわけでもないからです。
社用車が本当に必要なのかをまず考え、その上で必要となればいかに節税効果の高い社用車にするかを考えていきましょう。