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2023/10/25

会社を起業するとき、会社と登記する必要があるので必ず代表者印(会社実印)を作ることになります。

その際は代表者印だけを作るのではなく、法人銀行印と角印を加えた3点セットで印鑑を作成するのが一般的です。

ただ、銀行印は代表者印と併用しても契約上は問題ないので、
「どうせ高いお金をかけて印鑑を作るならすこしでも節約したいし、法人銀行印は作らなくてもいいや」
と思っている方もいらっしゃることでしょう。

ですがちょっと待ってください!
もし万が一、法人銀行印として持ち出していた代表者印を紛失する事態になったら大変じゃないですか?

代表者印を代表者印としてだけ使うのなら、代表者だけが管理できますが、銀行印として使う場合は経理担当者の手にも渡ることにもなりますよね。

つまり、大切な代表者印を紛失してしまう可能性が2倍になってしまうのです。

また、実印が悪用されることがまったくないとは限りません。

自分が判をついていない書類でも、代表者の実印が押されている書類は、代表者であるみなさん自身が認めた書類であると、法律上は事実推定されてしまうのです(民事訴訟法第228条4項)。

管理体制を整えるのは当然のこと、社員を疑うようなことは初めからしたくありませんよね?

だからこそ、リスクヘッジのために代表者印と会社銀行印は別々に作成する必要があります。

この記事では、会社設立のために必要な印鑑である法人銀行印について解説をしていきます。

法人銀行印と代表者印(会社実印)の役割の違いを明らかにしながら、どんな印章を作成するのがいいのかについても紹介するので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

ライター嶋崎の実物写真

【ライター】嶋崎
当サイトを運営している嶋崎と申します。
わたしは経営の経験はありませが、サイト運営に携わり約2年が経過するなかで、事業主のお金の悩みは特有であることを勉強してきました。
たとえば事業主へ実際にインタビューをしたり、実際にセミナーに参加したりするなどして、資金調達の流れやどのようなときにお金の不安を感じるのかを勉強しています。
資金繰りの悩みを解決するためのサービスをすべてを網羅するのは大変です。
一から資金繰りの悩みを調べずとも、「ビズローンで解決できた」が叶うように、全力でサポートします。

法人銀行印とは?

法人銀行印とは、会社が銀行口座を開設するときに銀行へ届ける印鑑です。

画像1が代表者印(会社実印)、画像2が法人銀行印(会社銀行印)です。

 画像1

画像2

銀行印は実印と区別するため、一回り小さなサイズで作られることが多いです。

引用元:はんこプレミアムより

法人銀行印は主に以下の用途に使用されます。

  • 会社の口座預金から支払いをするとき
  • 手形や小切手を発行するとき

銀行口座や手形、小切手にて会社のお金のやり取りの際に必要となる印鑑で、外側には「会社名」内側には「銀行印」と彫られています。

一方、代表者印は外側に「会社名」内側に「代表取締役○○(氏名)」と彫られているため、両方ともとてもよく似た印鑑です。

そのため「2つ作らなくても兼用すればいいのでは」と考える人も多いですが、会社のお金のやり取りに必要な法人銀行印だからこそ、代表者印と同じものにするとさまざまなリスクが生じてしまうでしょう。

次に、代表者印と法人銀行印を兼用すると生じる可能性のあるデメリットを解説します。

法人銀行印と代表者印を兼用するデメリット

法人銀行印と代表者印を兼用してしまうと、以下のデメリットが生じます。

  • 紛失したときに悪用リスクが高くなる
  • 同時使用ができない

紛失したときに悪用リスクが高くなる

法人銀行印と代表者印を兼用していると、印鑑1本のみで銀行での取引や決済、さらに会社の意思決定や運営に関することまですべて完結できることになります。

そのため、印鑑を紛失したときに生じるリスクも高くなるのです。

具体的には、以下のような悪用リスクが考えられます。

  • 印鑑を管理している社員に会社のお金を着服される
  • 法外な契約書を作成、契約されてしまう
  • 借金などの連帯保証人にされる
  • 会社名義のローンや借金を勝手に契約される
  • 会社名義で車や不動産などを購入されてしまう
  • 小切手や手形を切られてしまう

実際に、印鑑、通帳、カードの管理を任されていた会社の幹部社員に5年間にわたり約1億円会社のお金を着服されていた事件が発生しています。

同時使用ができない

法人銀行印は経理処理で、代表者印・代表者印は意思決定や会社運営に関する処理や業務に主に使用します。

しかし自身と他の社員で処理のタイミングが重なった場合、印鑑の同時使用はできませんよね。

その場合は処理や作業が滞ってしまうだけでなく、印鑑が会社経営者と経理担当者の間で行き来することになるため、より紛失のリスクも高くなってしまうでしょう。

これらのデメリットを未然に防ぐだけでなく、法人銀行印と代表者印・代表者印をわけると得られるメリットもたくさんあります。

法人銀行印と法人代表者印をわけるメリット

法人銀行印と代表者印をわけると得られるメリットは以下の通りです。

  • リスクを分散化できる
  • 紛失したときの手間も省ける
  • 印鑑の管理が楽になる

リスクを分散化できる

あらかじめ銀行をわけておくことで、万が一盗難や紛失などにあった場合にも、悪用されるリスクが減少できます

また、法人銀行印は経理担当者、代表者印は経営者が管理することで、紛失などにも気が付きやすく悪用されるまえに手を打てる可能性も高くなるのです。

紛失したときの手間も省ける

印鑑を紛失し、再発行をする場合には新しい陰影を銀行などの必要な場所に届け出をしなければいけません。

兼用していた印鑑を紛失した場合は、銀行、役所などいろいろなところで再登録手続きが必要です。

いっぽうで印鑑をわけておけば、紛失してしまった印鑑で再発行が必要な場所への手続きのみで済みます。

印鑑の管理が楽になる

各法人銀行印や法人代表者印など印鑑の役割ごとに、あらかじめ管理する場所をわけておけば同時に作業もできますし、印鑑のある場所もすぐに分かるため、必要なときにすぐ印鑑が使えます。

メリット、デメリットを踏まえると法人銀行印は代表者印とわけた方が管理もしやすく、悪用などのリスクが発生する可能性をおさえられることが分かりました。

もしも今印鑑を兼用しているなら、
「法人銀行印を改めて作ったほうがいいかもしれない」
と考えている人も多いでしょう。

次は法人銀行印を兼用している人やこれから法人銀行印を新しく作る場合に、覚えておきたい法人銀行印の書体について解説します。

法人銀行印のおすすめ書体は「登用されにくいもの」

法人銀行印を作るときには、いろいろな書体が選べます。

けれども法人銀行印は会社のお金を管理している大切な印鑑ですので、万が一紛失してしまうと複製・偽造されて悪用されるリスクがあります。

大前提として「登用されにくい書体」を選びましょう。

具体的には篆書体、印相体などが選択肢となります。

引用元:はんこプレミアムより

これに加えて、「劣化しにくい書体」を作るのも重要です。

法人銀行印は、陰影を取って銀行に登録されますが、万が一印鑑自体が劣化して書体の一部が欠けてしまうと、元の印影と同一性が失われてしまい、法人銀行印としての効力を失ってしまう可能性があります。

安価なプラスチック樹脂ではなく、劣化しにくいチタンなどの金属系、硬い木材系の材質を法人銀行印では選ぶのがおすすめです。

これから会社を設立する人は、法人銀行印に加えて代表者印、角印の3つを用意するのが必須となります。

法人銀行印以外の、ほかの2つの印鑑の役割について解説していきます。

会社設立時に用意すべき3つの印鑑

会社設立時に用意すべき3つの印鑑は以下の通りです。

  • 法人銀行印
  • 代表者印
  • 角印(社印)

法人銀行印は銀行と会社のお金のやりとりを行うとき、主に使用します。

代表社印と各印の役割について見てみましょう。

代表社印

代表社印は、会社を設立する際に法務省へ会社の印鑑として登録するものです。

会社にとっての実印の役割を果たすもので、企業間の契約を取り交わすときなど会社運営や管理の重要な局面で用いられる印鑑になります。

形状は法人銀行印と同じ丸型で、社名と会社の代表者の役職と氏名が印面に記されています。

角印(社印)

角印(社印)はその名の通り、角型で会社名のみが印面に記されている印鑑です。

代表社印が会社にとっての実印であるのに対して、角印は会社の認印という位置づけになります。

社内文書のほか、取引先への納品書や請求書などのいろいろな書類への捺印に使われます。

法人銀行印と同じく、代表社印と角印を会社設立時にそろえますが、その後盗難や紛失を防止するために、適切な管理が必要になります。

法人銀行印の管理方法を次に見ていきましょう。

法人銀行印の管理方法

法人銀行印を管理する方法や、万が一紛失したときの対処法、改印するときの手順をそれぞれ解説します。

法人銀行印の管理方法

法人銀行印を管理するさいに、以下の項目を決めておきましょう。

  • 誰が管理するか
  • どこに保管するか
  • 誰が捺印するか
  • 捺印した時や場所、用途などの管理記録はどうするか

法人銀行印は、主に企業の経理担当者が管理することが多いでしょう。

けれども、万が一の紛失や盗難、さらに社員間で悪用されるようなことは防がなければいけません。

上記の項目を決めて、常に法人銀行印の所在を把握しておくことが重要です。

さらに、実際に法人銀行印を使用した場合には、使用した履歴を台帳やデータで管理しておくようにしましょう。

万が一法人銀行印を紛失した場合だけでなく、不審な預金の流れなどを見つけたときに、法人銀行印の使用履歴から原因を調査するのにも役立ちます。

法人銀行印を紛失してしまったら

万が一法人銀行印を紛失してしまったら、最初にやるべきことが法人銀行印を登録している銀行などの金融機関に連絡し、いったん取引停止の手続きを取ることです。

紛失後は新しい法人銀行印を作り直し、再登録の手続きが必要ですが、その間に紛失してしまった法人銀行印が第三者の手に渡る、または元から盗難された場合は悪用されてしまうリスクがあるからです。

紛失に気づいたら、まず取引停止の連絡を金融機関に行ってから、次に紹介する再登録手続きをします。

法人銀行印を改印するとき

法人銀行印を紛失してしまったとき、または社名が変更になった、法人銀行印の印影が欠けてしまったなどの理由で、登録している法人銀行印を改印するときの手続きは以下の通りです。

  1. 新しい法人銀行印を作成する
  2. 新しい法人銀行印、口座の通帳、代表者の身分証明書(※)を持参し、銀行で改印手続きを行う

また、法人銀行印の改印手続きは会社の代表者が行います。

もしもやむを得ない理由で、代表者ではなく代理人が行う場合には委任状が必要になるケースがほとんどです。

また(※)以外にも登録している銀行によって、さらに求められる可能性もありますので、改印に足を運ぶまえに銀行に確認しておくとスムーズに手続きができるでしょう。

まとめ

法人銀行印は会社のお金、代表者印は会社にとっての実印とそれぞれ重要な役割を担っているからこそ、兼用せずそれぞれで適切に管理し、使用することが重要です。

長く使う法人銀行印だからこそ、陰影がかすれにくい丈夫な素材を選ぶとともに、複製や偽造されにくい書体を選びましょう。

法人銀行印の適切管理は、会社の財産を守ることにもつながります。

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