• MENU
トップページ > 京都書店めぐり > 「誰でも本屋さんになれる ~少額取引サービスFoyer(ホワイエ)ってなに?~」イベントレポート
  • twitter
  • facebook
  • はてブ
  • line
  • pocket
IMGP8259

「誰でも本屋さんになれる ~少額取引サービスFoyer(ホワイエ)ってなに?~」イベントレポート

IMGP8223

3月18日に「誰でも本屋さんになれる~少額取引サービスFoyer(ホワイエ)ってなに?~」というトークイベントが京都市のMontag Booksellers(モンターグ・ブックセラーズ)にて行われました。

今回のトークイベントでは、取り次ぎ会社の大阪屋栗田の担当者さんが本の流通の仕組みや、書籍小額取引サービス「Foyer(ホワイエ)」の概要を説明されました。
また、Montag Booksellers店主の宮迫憲彦さんと、YUYBOOKSの小野友資さんが聞き手としてトークイベントに参加されました。

今回のトークイベントは「いまどきのブックフェアvol.3」の一環として行われたものです。
「いまどきのブックフェアvol.3」はiroiroschool(いろいろスクール)の「いまどきの本屋のつくり方講座」で受講生と先生、さらに全国の独立系書店が一緒に本屋をつくるイベントです。

IMGP8228

今回は、独立系書店など50店舗がそれぞれ本を持ち寄って棚をつくりました。
3月18日の13時から20日の15時までの50時間開催されました。
Montag Booksellers店内(Impact Hub Kyoto 2階)で開催されたこのイベントでは、本だけでなく飲み物も販売されていました。
「いまどきのブックフェアvol.3」では本がたくさん並べられ、Montag Booksellers店内にはたくさんのお客さんが来られていました。

IMGP8255

Montag Booksellersのホームページから事前に「誰でも本屋さんになれる~少額取引サービスFoyer(ホワイエ)ってなに?~」のイベント参加を申し込むのですが、イベントが行われる数日前には参加者の定員15名が「満員」と表示される盛況ぶりでした。

イベント当日

IMGP8224

初めてイベントに参加させていただき、イベントレポートを書くので緊張して向かいました。

はじめに大阪屋栗田の担当者さん、Montag Booksellers(モンターグ・ブックセラーズ)店主の宮迫憲彦さん、YUYBOOKSの小野友資さんがそれぞれ自己紹介や挨拶をされました。

そのなかで宮迫さんは、今回のトークイベントを行うことを事前に告知すると思ったよりも反応がよかったということを仰っていました。
また本屋をやりたいという人が多いということにも驚きを示されていました。
会場に来ている参加者にはどのようなかたがいるか挙手を求められると、出版系で働いているかたが4名(書店員2名・出版社2名)、小売業をやっているというかたが2名、本屋さんをやりたいというかたが5名、あとはその他数名という割合でした。

そのあと、大阪屋栗田の担当者さんが日本の出版流通の仕組みや、取り次ぎについての説明を始められました。

大阪屋栗田の担当者さん大阪屋栗田の担当者さん

日本の出版流通は砂時計型だという説明がなされました。
出版社が約3200社、取り次ぎが22社(そのうち大手2社で70%)、書店13000軒という内訳だそうです。

取り次ぎとは、「徹底的に効率化されたプラットフォームであり、取り次ぎの機能は物流・情報・金融である」と説明がなされました。
取り次ぎのプラス面は低価格で返品可能な流通を実現できる点です。
また、マイナス面は効率主義で“遊び”を許容しにくいというところだそうです。
売り上げの減少により、制度があまりうまくいかない状況にあるとのことでした。

取り次ぎはマスセールスを成立させ、マスセールスによって成立しているとの説明がなされました。
また出版流通は雑誌がメインであるとの説明がされました。

この「雑誌がメインに出版流通が成り立つ」という仕組みは、三月書房のインタビューで教えていただいた内容だったので、あ、これ知ってる!と思いました。

≫京都の名店「三月書房」で聞いた!出版業界の今と昔

そのあと、取り次ぎと書店の通常取引について説明がなされました。
普通、書店を開いて取り次ぎと契約する際に必要となるものとして、取引契約書、印鑑証明、再販売価格維持契約書、連帯保証人(3名)、担保協定が挙げられました。
このようなたくさんの契約を取り次ぎと交わす必要があるのは、本の返品がある分、取り次ぎ側にリスクがあることが理由として挙げられるとのことでした。
また契約の前提として「取引がマスセールスになること」を挙げられ、美容院などは規模が小さく契約することが難しいとのことでした。

IMGP8237小野友資さん(左)・宮迫憲彦さん(右)

また、取り次ぎを介さずに出版社から直接本を仕入れる「直取引」も紹介されました。
YUYBOOKSの小野さんは、「直接出版社とやりとりをすることは取り次ぎを介さない分、利益の取り分が増えるものの、とても手間がかかる。」と仰っていました。
取り次ぎを介することで本を入荷する際の手続きがスムーズになるということが分かりますね。

「Foyer(ホワイエ)」ってなに?

IMGP8267

大阪屋栗田さんは取り次ぎとして「本」を残すためにすべきことは何かを考え、今の出版業界にはプレイヤーがいるが流通インフラが足りないと考えたため、小額取引で本を仕入れることができる新サービス「Foyer(ホワイエ)」を始めたそうです。

また、このような小額取引のサービスは「㈱子どもの文化普及協会」のほうが先進的だとのことでした。
ただ、こちらは児童書などが豊富にそろうものの、コミックなどは手に入らないそうです。

大阪屋栗田の担当者さんは、小額取引サービス「Foyer(ホワイエ)」を利用する際の条件などについて詳しい説明をされました。

「Foyer(ホワイエ)」の条件(※取材時)
●保証金不要
●掛率が83.0%
●返品可
●1回の発注上代金額25,000円未満の場合、送料800円
●15日締め・翌々月5日払い
●取引限度額 300,000円
●発注日から3営業日以内に発送
●在庫 約30万点

「Foyer(ホワイエ)」は新刊や雑誌には対応していないとのことでした。
ただ、本屋をやりたいという人は自分の好きな本を置きたいという人が多いため、既刊を扱う「Foyer(ホワイエ)」のサービスで対応できるのではとのことです。

また「Foyer(ホワイエ)」の取引に必要となるのは、「取引契約書」、「印鑑証明」、「再販売価格維持契約」だけでよいとのことでした。

IMGP8285

ここで、「Foyer(ホワイエ)」を実際に利用している宮迫さんから率直な意見が出ました。
「Foyer(ホワイエ)」のサイトは、ユーザーとして使いにくいと感じる部分があるため、本を一覧で表示できる仕組みなどが搭載されると嬉しいと仰られていました。

また「Foyer(ホワイエ)」には本の返品に対応するサービスがついていますが、自分のお店を持とうと考えるかたは好きな本を置くため、返品できるかどうかはあまり関係ないかもとのことでした。
そして返品サービスをつけるよりも掛け金を下げてほしいと仰っていました。

また今後、在庫の量が増えればなお良しで、ウェブサイトを充実してほしいとのことでした。

その後は大阪屋栗田さんに対して参加者から、「なぜこのようなサービスを始めたのか。」といった質問が出ました。
大阪屋栗田の担当者さんは、「Foyer(ホワイエ)」を始めた理由として本の流通を広めたいということを述べられていました。
また「Foyer(ホワイエ)」が新たな収入源になることを期待していると仰っていました。
そして参加者からいくつか質問が出たあと、会は終わりました。

編集後記

IMGP8256

本に関するイベントに初めて参加しましたが、実際に本屋をやるということに興味がある参加者がたくさんいらっしゃったことに驚きました。
また参加者のかたは質問も積極的にされていて、熱意があるかたが多かった印象を受けました。

また今回のイベントでは、大阪屋栗田さんという取り次ぎ会社の担当者さんが出版流通の仕組みや、「Foyer(ホワイエ)」という小額取引のサービスを紹介してくださいました。
実際の取り次ぎ会社さんが出版流通について説明をされていたのがとても印象的でした。

「Foyer(ホワイエ)」を実際に利用しているMontag Booksellers(モンターグ・ブックセラーズ)店主の宮迫憲彦さんが「Foyer(ホワイエ)」の使用感を述べられていました。
またYUYBOOKSの小野友資さんも直取引について感想を述べられていました。
こうした現場の生の声を聞くことができたのも貴重な経験でした。

新しく始まった「Foyer(ホワイエ)」というサービスですが、自分で個人的な本屋さんを持ちたいというかたにはぴったりだと思います。
自分の好きな本を置くような小さい本屋さんをやってみたいと考えるかたは一度「Foyer(ホワイエ)」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

topicBACK NUMBER連載一覧
writerWRITERこの記事の作者
kawashima

この記事を書いたひと マル

京都の大学に通う学生ライター。 丸顔なので「マル」というペンネームに。 学生ライター仲間を募集しています!
ページトップへ戻る