【 #海の京都 】町中にモーニングコール!?魚屋がない伊根町で新鮮ピチピチな魚を手に入れるユニークな習慣
こんにちは!
京都府北部にある海に面した地域「伊根町(いねちょう)」を知っていますか?
「京都に海があるの?」というかたもなかにはいかもしれません。
海、あります!
「京都」というと一般的には寺社仏閣などが集中している京都市内をイメージされるかたがほとんどだと思いますが、京都府の北部にある、舞鶴市、宮津市、与謝野町、京丹後市、そして井根町が海に面しています。
日本三景のひとつである天橋立も京都府宮津市にあるんです!
伊根町では有名なものといえば「舟屋」。
海とゼロ距離で建物が並び、1階は海から船がそのまま入れるようになっています。
海との距離がとっても近い伊根町の舟屋群には観光客が泊まれるように改装されている舟屋もあります。
先日、この舟屋に泊まったのですが、想像以上に海の暮らしを満喫できたのでご紹介します。
1.舟屋はもともと倉庫
2.伊根には魚屋さんがない!?
3.伊根での魚の買い方
1.舟屋はもともと倉庫
舟屋に着くと、お母さんに宿の使い方や、1階の船のガレージを案内してもらい、舟屋の歴史を簡単に教えてくれました。
ぼくはすっかり舟屋は住居だと思っていたのですが、ひとが住むための建物ではなく、2階は船の道具をしまうための倉庫だったそうです。
時代の流れとともに船もだんだんと大きくなり舟屋に入らなくなり、また個人の漁師さんも減っていきました。
地元のひとたちにとっては「舟屋の景観」というものがまさか観光資源になるとは思っていなかったそうで、使われなくなり、古くなった舟屋がたくさん取り壊された時期もあったそうです。
舟屋が観光資源として見直され、2階部分がきれいに改装されて、今では観光客が泊まれる宿になったそう。
実際にぼくが泊まった舟屋はとってもきれいで、「お風呂、シャワー、トイレなどの水回りが気になる」というこいつと一緒に旅行にいくのが面倒だなというひとでも問題なく泊まれますよ。
2.伊根には魚屋さんがない!?
実は伊根には魚屋さんないそうです。
ここで問題です。
いったいどうやって魚を手に入れているのでしょうか?
A.自分の魚は自分で釣る
B.仲のいい漁師さんから分けてもらう
C.漁港で買う
D.町から配給される
答えは・・・Cです!
簡単でしたね。
さて、「漁港で買う」となるとみなさんどんなイメージを思い浮かべますか?
漁港にはたくさんのお店が並んでいる市場がある。
白い発泡スチロールにたくさんの氷が入っていて、魚の種類ごとに箱が分けられている。
おじさんの活気に圧倒されながら、今日のおすすめを買う。
そんなイメージをもって漁港に行ったのですが、現実はまったく違うものでした!
3.魚の買い方@伊根
それでは伊根町ではどのように魚を買うのかご紹介します。
舟屋に泊まるときに、宿のお母さんからこんな一言がありました。
「ここの防災無線が朝の7時から7時半ごろに鳴るから驚かないでね。」
伊根町では民泊だけでなく家庭にも防災無線が設置されています。
防災無線というからには、雨風が強いときなどに使うものですが、伊根町ではそれだけでなく毎朝、ある目的で放送があります。
モーニングコールではありません。
それは「今朝の漁の成果」です!
どんな魚がとれたのか、どの魚がたくさんあるか、といったことを放送し、それを聞いた住民はバケツを持って漁港に集まります。
また、この放送はアルバイト募集も兼ねていて、放送を聞いたおじいちゃん、おばあちゃんが漁港に出勤して魚の仕分けなどの仕事をするそうです。
実際の放送がこちら。
【ローカルでユニークな習慣】
京都府北部にある伊根町では、毎朝、漁の成果が町中に放送される!#伊根 pic.twitter.com/voUp6agkh5— Wa! (@Wa_weare) 2017年5月11日
「コアジ」しか魚の名前を聞き取れませんでした(笑)
さっそく漁港に向かいます。
漁港につくと、魚をつんだ船が到着するところでした。
3つ船があり、定置網でとった魚をいくつかに分けて漁港に運んでくるそうです。
大きなベルトコンベアがついた大きな機械が、船からあがった魚を運びます。
魚の大・中・小の大きさで分けるそうです。
魚がコンベアに乗って運ばれてきた、その瞬間!
いっせいに魚に飛びつく住民のみなさん!
ここでは業者も、飲食店も、住民も関係ありません。
自分の欲しい魚を誰よりも早く見つけて手に入れる、まるでデパートの初売り!!
どの魚がいいか、見極めてくれるひとはいません。
信じられるのは己の目利きだけ。
お店に並べられた魚しか買ったことのないぼくには高い高いハードル。
圧倒されました。
魚は種類ごとにキロ単位で値段が決まっています。
アジ18匹、カワハギ3匹、サバ1匹。
これで2,000円ほどでした。
あがったばかりの新鮮な魚をさばいて朝食に。
アジは開いて、干物にします。
干すのはもちろん舟屋の1階スペース。
これが伊根の日常だそうです。
伊根は海だけじゃない
さんざん伊根の海が魅力的だと話してきましたが、それだけではありません。
友人に山側も案内してもらったのですが、うまい湧き水、絶景の棚田、伝説がのこる数々の神社(浦島伝説がのこる神社も)・・・。
伊根を楽しむなら足早に観光するよりも、じっくりゆっくりと時間を使うのをおすすめします。
朝一で干したアジはおよそ半日でおいしい干物になりましたとさ。
めでたし、めでたし。