• MENU
トップページ > 京都のヒト > 2020年の働き方は?服装自由・出勤時間なし・どこで働いてもOKな会社員に聞いてみました
  • twitter
  • facebook
  • はてブ
  • line
  • pocket

2020年の働き方は?服装自由・出勤時間なし・どこで働いてもOKな会社員に聞いてみました

ユニクロの「週休3日制」、ロート製薬の「副業解禁」をはじめ、さまざまな企業で「働き方」の仕組みが変わりつつあります。

国が掲げている「働き方改革」という言葉をメディアで目にすることも多いのではないでしょうか。

とはいえ、まだ社会で働いていない学生にとってはイメージできないことばかり。
ハタチ前後のみなさんにとって、一般的なビジネスマンの「働く」姿はどんなイメージですか?

・スーツをビシっと着こなし
・9時に出社
・定時に帰れる会社、残業が当たり前の会社
・土日、祝日が休み
・会社一筋で定年まで勤める(古すぎるイメージ?)

多くの会社や大人にとっては当たり前だった「働き方」が多様化しています。

フレックスタイム制、在宅勤務、ノマドといった勤務時間や勤務場所にとらわれない働き方や、副業を認める会社も増えています。

コワーキングオフィスと呼ばれる共同のオフィスなんかも増えていて、京都にも10ヶ所ぐらいあるのではないでしょうか。

いま20代のわたしたちが30歳になったとき、40歳になったとき、いったいどんな働き方になっているのか。
もしかしたら想像もできない働き方が当たり前になっているのかもしれません。

今回は一般的なビジネスマンのイメージとはまったく違う働き方をしている会社員にインタビューをしました。

これからご紹介する働き方が正解だ、ということではありません。

この記事をきっかけに、いまの「働き方」のルールがどうして当たり前になったのか、新しい「働き方」がどうして必要なのか。
そんなことを考えるきっかけになればと思います。

インタビューでは「働き方の7つのポイント」がでてきます。
最後にまとめましたので、こちらも参考にしてください。

さて、想像してみてください。

・きれいな庭のある京町家のオフィス
・でも、毎日オフィスに行く必要はない
・服装は自由で、髪を染めても、ヒゲを剃らなくてもOK
・旅をしながらの仕事可

こんな環境で働く自分の姿をイメージできますか?

今回は、まさにそんな働き方をしている株式会社ツナグムの藤本和志さんにお話をうかがいました。

※取材のすぐ横で(株)ツナグム代表の田村篤史さんが仕事をしていらっしゃったので、記事の途中で何度か登場します

──藤本さん、よろしくお願いします!

藤本:よろしくお願いします!
ぼくが選ばれた理由が「ヒゲで私服で出勤時間が決まってない、そんな社会人ありえない」ということでしたよね?(笑)

──いえいえ、ありえないとは(笑)
そんな社会人おもしろいなぁ、時代の先端をいく働き方だなぁという興味です。

自分に無理を強いないスタイル

──働き方についてお話いただく前に、藤本さんがどんなお仕事をされているのか教えてください。

藤本:ツナグムでは、京都移住計画というプロジェクトをしていて、京都に移住したい人の支援や、京都の企業の採用支援をしています。
京都移住計画の業務のなかには京都府から事業委託をうけている「移住コンシェルジュ」という仕事もあって、それは京都府の北部や南部への移住サポートがメインです。
東京にも移住コンシェルジュの拠点があって、イベントの企画支援もやっています。

また、京都と京都以外の地域をつなげる「ローカルナイト」というイベントもしていて、先月は大分県、7月は石川県、そのあとは島根県です。

──けっこうあっちこっちに飛び回る仕事なんですね。
府庁や県庁と仕事をしているとのことですが、行政・役所は「カタい」イメージがありますが、そういうときは今日みたいな私服ではなく、スーツなんでしょうか。

藤本:スーツは着ないですね。
ただ行政への挨拶など、要所要所ではある程度の格好はしますよ。笑
​​ヒゲは剃るというより整えるといったかんじでしょうか。
ぼくはあまりヒゲを剃りたくなくて。

──そういうかたは多いですよね。

藤本:もしヒゲを生やしていることに何か言われたとしても、うちは代表もヒゲを生やしているのでこういうスタンスなんですって(笑)
服装については、前の職場はスーツだったので、仕事が変わって私服になるとき、ちょっと恐怖というか違和感はありました。

──どんな恐怖ですか?

藤本:ひとからどう見られるのか、ですかね。
最初はキレイめな服装で、徐々にカジュアルな服装にして、「このひとはこういう服装なんだ」と認識してもらえるようにしましたね。

──ツナグムでは服装規定はないんですね。

藤本:ないですね。
代表も外向けのときはジャケット&パンツとカジュアルですし、秋冬になると上着がジャージの社員もいます。
同じ色のジャージを5着持っているらしく、街であの色のジャージを見れば、あのひとだって誰もが気づくとか。
5着持っているのが本当かはわかりませんが(笑)

──同じ服をいくつも持っているなんてスティーブ・ジョブズみたいですね。
ジョブズの場合は、服装を考えるという無駄な時間を削減したり、ジョブズといえばこのスタイルといったセルフブランディングの要素もあるんでしたね。

「働き方」ポイント1:服装

「働き方」ポイント2:ヒゲ・髪

自主性が問われる職場

──スーツで働いていたころの前職について少し教えていただけますか。

藤本:新卒で人材系の会社に入って、そこに8年間務めました。

──どうして人材系に?

藤本:ひとつは全業界を見れるということですね。
就職活動で、いろんな業界、ビジネスモデルを知るのがおもしろかったんです。
これを仕事にしたら楽しいんじゃないかと。

人材系にいたこともあって、ツナグムに入ってからも、大学のキャリアカウンセリングや企業の採用アドバイザーの仕事もやってました。

──いわゆる副業ですね。

「働き方」ポイント3:副業

藤本:ツナグムはフリーランスの延長といったところもあるので、ほかの仕事をしている人も多いです。
この会社はとても自主性が大事で。
ぼくが入社するとき、前日まで会社からはなんの連絡もなかったんですよね(笑)

田村:ごめん(笑)内定通知書とかも出してないもんな。

藤本:必要な情報は自分で聞きにこい、っていうスタンスで(笑)
自主性ですね。

やってみたいことがあったとき、詳細まで決まっていなくても「田村さん、これやっていいですか?」と聞くと、「いいよ! やろう!」って言ってくれるんでね。
いい会社だなぁ。

田村:いい会社やなぁ。 じゃぁ、帰ろかな。
今日はもともと在宅の日だから。

オフィスを持たない組織のコミュニケーション

──社長は在宅勤務なんですか?

田村:ぼくは最近は週2で在宅勤務。
作業する為だけにオフィスに来る意味ないなって。
往復2時間位の通勤時間を節約できたら、その分の仕事もできるし家なら家事もできる。

「働き方」ポイント4:場所

──確かに、みなさん飛び回っているので、毎日オフィスにいる必要もなさそうですね。
オフィスにいないこと、オフィスがなくなると困ることはありませんか?
例えば、コミュニケーションがうまく取れないとか、どこで働いたらいいのかわからないとか。

田村:コミュニケーションの問題はたしかにあって、去年はみんなが自分のプロジェクトしか把握してなかったから、今年からは月に1度は全社員で集まって共有する時間をつくってる。
終わったらみんなでご飯にいこうよって。

その日だけは「出勤日」になってる。

藤本:どこで働いたらいいかってあまり困らないですね。
コワーキングスペースをまわったりしましたし、最近は居心地のいいカフェを見つけたのでそこによく行きます。

田村:オフィスがなくてもいいなって思うのは、うちの場合は「何時間働いたから私は頑張りました」ということが全く意味がないからで、やったかどうか、結果はどうだったのかしか見てない。

連絡もチャットですむし、急ぎであれば電話でしてもらえればいい。
もしかしたら、ちょっと冷たいというか、気軽に相談しにくい環境になっているかもしれないね。
そんなつもりはないんだけど。

「働き方」ポイント5:報・連・相

──藤本さんは相談したいけどしにくい、ということはありましたか?

藤本:いやぁ、ないですね。
自分でまずはやってみて、進めていくなかでわからなかったり、悩んだりすることがあれば、誰かに相談してます。
ただ、田村さんに共有をあまりしていないですね、最近・・・ここ1年くらい(笑)

田村:大問題や(笑)

藤本:ターニングポイントがあって、一回そういう話があったときに、メールにすべてCC(※宛先以外の関係者にもメールを送ること)をつけようかと思ったんですけど、ぼくだったら見ないなぁという話を田村さんにしたら、田村さんも見ないって。

田村:うん、見ないし、見れない。

藤本:CCつけなくても毎日かなりのメールが来るのに、自分に関係のないメールにいちいち目を通せないですよね。
だからCCをつけるのは意味がないなって。

田村:ふじもん(藤本)はそういうところが合理的だよね。
意味があるかないかをしっかり考えてる。
安心材料のためのCCつけたメールは意味がない。

藤本:こういう働き方はその人の思考性によりますよね。
自分でどんどん進めるというのが苦手な人には難しいかもしれません。

──誰にも管理されないかわりに、自分で計画立ててやらないといけないんですね。
裁量が大きい分、責任感も大きい。
でも、誰にでもいつでも相談しやすい環境なんですね。

まずはやってみる。悩むのはそのあと

藤本:田村さん、ちょっとやってみたいことがあるんですけど・・・。

田村:なに?

藤本:温泉コワーキングやりません?

田村:やろう! できそう、大分で!

藤本:こんな感じで、GOサインがでるラインがほかの企業よりも低いんです(笑)
そこが一般的な企業だとなかなか難しいのかなぁと。
ツナグムではまずやってみようという感じです。

田村:ホリエモンの話で、天才とバカと小利口っていうのがあって。
天才はリスクを想定して事業を進めるタイプ。
バカはリスクを無視してまずはチャレンジしてみるタイプ。
小利口は「これをやったらどうなるんだろう」って考えて止まってしまうタイプ。

で、小利口のひとが圧倒的に多いんだよね。

藤本:先日、和歌山県で地方創生会議というのがあったんですけど、そこでもこれに似た話題がありました。

「●●をしたいのですが、どうしたらいいですか?」と相談をする学生がよくいます。

まずは実際にやってもらわないと答えようがないんですよね。
やってみて困っていることを相談してくれれば答えられるんですけど、やっていない学生には「やってみたら」としか言えなくて。

前職で一番学んだことは、「すべてはやってみないとわからない」ということ。
経験則でしかなにも話せないですよね。
大学のキャリアカウンセリングをしていたときも、新たに就活の本を読んだり教えるために勉強しなおすというよりも、自分自身の過去の就活や人事採用の経験からアドバイスしています。

「働き方」ポイント6:就職活動

──どんなアドバイスをするんですか?

藤本:就活の仕組みがどうしてそうなのかや、その質問をどうしてしているのかといったことを考えてもらうようにしています。
学生は答えを求めがちで、ESに何を書けばいいか、質問に何と回答すればいいのか、そればかりを気にします。
就職活動って採用側の都合で動いている面が大きい。
だから自分視点におきかえながら、相手側の動きを想像し一つひとつの意味や表現を考えられるようになってほしいなと思っています。

田村:ぼくもいまの就職活動はおかしいと思っていて。
どの部署になるのか、どんな上司のもとにつくのか、どんな業務なのか。
就職は入ってみないとわからないことが多すぎるに、何も知らないまま就職するのはおかしいと思って、大学を休学して、ベンチャー企業で働いてみたんですよね。

藤本:おかしいと思って、何もしなくなる学生もいるんですけど、田村さんみたいに何か行動に移せるっていうのが大事なんですよね。

──「やってみる」「自主性」が今回のキーワードになりそうですね。

藤本:「ヒゲ、私服、勤務時間」の話でしたよね(笑)

仕事と私事

田村:ふじもんのSNSを見てると、あっちこっち飛び回ってて「それって仕事?」ってよくなるんだよね(笑)

藤本:ぼくも「これって仕事?」と思うこともあります。
仕事としてお金をもらって京都府の北部地や南部、他都道府県に行くこともありますし、自分のお金でローカルな場所に短期滞在し、拠点や人を巡って、情報を集めることもあります。

「働き方」ポイント7:仕事とプライベートの堺

──プライベートと仕事の境界線が曖昧なんですね。
オフィスに来なくていいってことはどこで仕事もしてもいいってことですよね?

田村:うん。実はぼくも家族旅行に行きながら仕事をするっていうのを先日やってみた。
もちろん、昼間は家族と遊んでるから仕事はできないけど、夜とか、朝早く起きて仕事をするってのは全然ありだと思う。
やるべきことをやってもらえれば、旅をしながら仕事してもいいよね。

藤本:温泉コワーキングですね(笑)
いろんな話になりましたが記事になりそうですか?

──はい! 働き方の視野がかなり広がりました。
ありがとうございました!

働き方は与えられるだけでなく、つくるもの

インタビューでは「働き方」の多様性についてたくさんのポイントがありました。
「このひとたち何言ってるんだろう」と思ったところもありますが、それぞれに理由や意味があるんですね。

業種や仕事内容によっては、藤本さんのような働き方が適さないこともあると思います。
オフィスでみんなで働いたほうが効率もよく、生産性の高い仕事もあれば、個々が好きな場所で働いたほうが創造性が高くなる仕事も。

昔はそのほうがよかったけど、今は違うほうがよいこともある。

「働き方」は多くのひとにとっては与えられる環境だと思います。
ツナグムのおふたりを見ていると、自分たちで試行錯誤しながら自分らしい働き方に挑戦しているんだなぁと。

いま当たり前になっているルールを疑って、どうしてそのルールが必要なのかその理由を考えたとき、それを解決するための別の方法が見つかるのかもしれません。

最後に、今回のインタビューで出てきた「働き方」の7つのポイントをまとめます。
学生のみなさんの5年後、10年後、その先の働くイメージや、どうありたいかの参考になったら嬉しいです。

働き方を考える

ポイント1:服装
スーツで働くのはどうして? 私服で働くひとが増えているのはどうして?

ポイント2:ヒゲ・髪
ヒゲを剃らなきゃいけないのはどうして? 茶髪が許されているのはどうして?

ポイント3:副業
どうして副業がダメなの? どうして副業解禁の動きがあるの?

ポイント4:場所
オフィスで働くのはどうして? オフィスがなくても働けるのはどうして?

ポイント5:報・連・相
どうして報連相が大事なの? その手段は何がいい?

ポイント6:就職活動
どうしていまの就職活動のスタイルなの?

ポイント7:仕事とプライベートの堺
プライベートな時間に必要な情報を収集するのは仕事にはいらない?

●株式会社ツナグム
HP:http://tunagum.com/

●京都移住計画
HP:http://kyoto-iju.com/

●7月7日開催 ローカルナイト
『石川ナイト』@京都〜ローカルキャリアや地方の暮らし〜
http://tunagum.com/localnight/event&report/20170707ishikawa/

topicBACK NUMBER連載一覧
writerWRITERこの記事の作者
internship

この記事を書いたひと 編集部

「Wa!」の編集部です。学生ライター活躍中!
ページトップへ戻る