冬に食べたい!「京野菜」7選
みなさんは、「京野菜」ってご存知ですか?
京野菜には、主に京都府が定める「京の伝統野菜」と「ブランド京野菜」の2つの定義があります。
実は、「京の伝統野菜」と「ブランド京野菜」には異なる選考基準が設定されているんです。
「京の伝統野菜」は、1987年に京都府によって以下のように定義づけられました。
京・・・京都府内全域で生産されたもの。
伝統・・・明治維新(1867~1877年ごろ)以前から導入栽培されていたもの。
野菜・・・たけのこを含むが、キノコ、シダ類は除くもの。
これらを満たしたものが「京の伝統野菜」ということになります。
「ブランド京野菜」とは、京都の特徴的な農林水産物の中でも、品質的・量的に優れたものであると京都府や京都農協中央会などに認定された野菜や果物のことを指します。
また、このブランド京野菜には安全や環境に配慮した生産方法に取り組んでいると認められたものが当てはまります。
このように京野菜といっても複数の定義があり、1つの厳密な定義はないということが分かります。
ここではその京野菜の中から、冬に旬となる「冬に食べたい京野菜」を紹介していきます。
今回紹介する京野菜は以下の通りです。
●聖護院だいこん
●九条ねぎ
●堀川ごぼう
●金時にんじん
●えびいも
●みず菜
●壬生菜
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聖護院だいこん
1.特徴
聖護院だいこんは、人の頭ほどもあるような大型の丸だいこんです。
古くは江戸時代に尾張の国から左京聖護院に奉納された「宮重だいこん」を聖護院で作り始めたのがきっかけです。
初めの宮重だいこんは細くて長いものでしたが、毎年太くて短いかたちのものを選んで種をとり栽培しているうちに、現在のような丸型の大根が採れるようになったそうです。
土壌の浅い京都の土地に適していたことから聖護院一体で栽培が広がり、聖護院だいこんと呼ばれるようになりました。
2.旬
冬。10月下旬~2月
3.選ぶポイント
傷の少ないもの・葉が鮮やかな緑のものがオススメです。
4.保存方法
葉を切り落とし、新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
5.料理
苦味や辛味が少なく、甘味があるのが特長で、歯切れも抜群です。
また肉質が柔らかなのに長時間炊いても煮崩れしにくく、とろりとした食感に仕上がります。
料理では、おでんや煮物に最適です。
その他にサラダやポトフでも召し上がれます。
6.値段の目安
1コ400~600円
九条ねぎ
1.特徴
九条ねぎは、底冷えの厳しい京都の冬に、食卓を支える重要な野菜として多くの人に親しまれています。
現在は京都だけでなく、東京や地方などその他の地域でも様々な料理で活用されています。
長くて柔らかい上、風味のよい青ねぎです。
京都ではねぎというとこの九条ねぎを指し、白ねぎと区別されています。
防寒性があり、周年栽培をすることが可能です。
現在では1年中出回るようになった九条ねぎですが、霜にあたり、ぬめりが出てくる冬のものが最高です。
2.旬
1月~2月
(通年栽培)
3.選ぶポイント
太くて緑の濃いものを選びましょう。
薬味用には細いものもオススメです。
4.保存方法
しおれやすいので、新聞紙などに包んで冷蔵庫へ入れましょう。
5.料理
内側にぬめりが多いのが特徴で、このぬめりがねぎのとろりとした甘みを増し、体を温める効果がりあります。
また魚と一緒に煮ると魚の生臭みを消します。
このほか、肉の臭みをとってうまみを引き出すので、肉類との相性も抜群です。
また、麺類の薬味としても重宝されます。
料理では、鍋、すきやき、焼き鳥串、などがオススメです。
その他に、ねぎ焼きやねぎ煮など幅広く召し上がれます。
6.値段の目安
1束400~600円
堀川ごぼう
1.特徴
細長いごぼうのイメージとは異なり、丸太のように太くて皮はひび割れています。
根の先端がタコ足のようになっている点も特徴的です。
江戸時代、豊臣氏の滅亡で廃墟となった聚楽第の外堀は付近の住民のゴミ捨て場となりました。
そこは有機物を含んだ肥沃な土壌となり、そこから巨大なごぼう生長したことがきっかけとなり、堀川ごぼうの栽培が始まりました。
現在、主に左京区一乗寺や舞鶴市、福知山市、京丹後市で栽培されています。
2.旬
冬。11月~12月
3.選ぶポイント
太さが均一なものを選びましょう。
ひげ根が少なく、泥つきのものがオススメです。
4.保存方法
新聞紙に包み、日の当たらない涼しい場所に保存しましょう。
5.料理
ごぼう特有の香りやうまみは皮の部分にあります。
そのため料理に使う場合は皮を薄めにむくことがオススメです。
またアクが強いので、調理前に水にさらしてアク抜きをしましょう。
料理では、ごぼうのきんぴらや、煮物がオススメです。
また中の空洞にひき肉やすり身を詰めて煮るのもよいです。
6.値段の目安
1本700円前後
金時にんじん
1.特徴
鮮やかな赤色で、表面だけでなく中まで真っ赤な色をしています。
この鮮紅色は食卓に彩りを与え、特に関西のお正月ではよく使われています。
肉質はきめ細やかでやわらかく、普段目にする西洋にんじんとは異なる独特の風味をしています。
コレステロールを下げる効果のあるリノレン酸のほか、ビタミン、カリウム、食物繊維などを豊富に含んでいます。
金時にんじんは、江戸時代に中国から伝わった東洋種のにんじんです。
「金太郎」のモデルとなった坂田金時の顔のように真っ赤な色をしていることから、金時にんじんという名称になったと伝えられています。
2.旬
冬。11月上旬~1月中旬
3.選ぶポイント
皮の色が濃く、なめらかでつやがあるものを選びましょう。
上から見てヘタが真ん中にあるものがよいです。
4.保存方法
湿気に弱いので、保存する際は新聞紙に包みましょう。
また、立てるようにして冷蔵庫の野菜室へ入れるのがオススメです。
5.料理
表皮の下にカロテンを豊富に含みます。
そのため、なるべく皮付きのまま料理するか、皮を薄く剥いて調理するとよいでしょう。
料理では、鮮やかな彩りをいかしてサラダやかす汁にするとオススメです。
また、和え物や煮物にも最適です。
6.値段の目安
1本300円前後
えびいも
1.特徴
えびのように曲がった姿がユニークでないもです。
さといもの1種で、ねっとりとした独特の粘りが特徴的です。
肉質は緻密で長時間煮込んでも煮崩れしにくく、中までじっくり味が染み込みます。
京都では棒だらと炊き合わせた名物料理「いもぼう」で使われることで有名です。
でんぷんやたんぱく質、ビタミン類などを豊富に含み、栄養価が高いです。
安永年間に青蓮院宮が長崎から土産として持ち帰った種芋を、平野権太夫に託したことがえびいもの始まりと言われています。
このとき、横縞があるえびに似た形状のいもが出来上がったことから「えびいも」と名付けられました。
2.旬
冬。11月~1月
3.選ぶポイント
形がいびつでないものがオススメです。
また泥がついているものを選ぶとよいでしょう。
4.保存方法
低音や乾燥によって鮮度が落ちるため、土がついたまま冷暗所に置きましょう。
5.料理
長時間煮込んでも煮崩れしにくく柔らかく仕上がり、中までじっくり味が染み込みます。
そのため、煮物に最適の食材です。
料理では、棒だらと炊き合わせる「いもぼう」が京都で有名です。
またお雑煮やあんかけ、揚げ煮にしても美味しく召し上がれます。
6.値段の目安
500グラム1500円程度
みず菜
1.特徴
京都の菜類の中では、みず菜と壬生菜が代表的なものです。
このうち、みず菜は京菜ともいい、葉に深く細かな切れ込みがあるのが特徴です。
一方、壬生菜は葉に切れ込みがありません。
みず菜は古くから京都で栽培されてきた野菜で、現在は関西一体や東京方面でも栽培されています。
シャキシャキとした歯ざわりが特長で、冬の鍋物にはよく使われています。
肉の臭みをとってくれるので、鍋料理、肉料理とも相性がよいです。
2.旬
周年栽培の野菜です。
ただ、気温が冷え込む冬はうまみが凝縮され、一層美味しく召し上がることができます。
鍋にはハウスものではなく、旬のものがオススメです。
3.選ぶポイント
軸が白くて細いものを選びましょう。
4.保存方法
葉がやわらかく傷みやすいので、冷蔵庫に入れるときはぬらした新聞紙などに包んでビニール袋に入れましょう。
5.料理
肉の臭みをとってくれるので、鍋料理や肉料理、煮物などと相性がよいです。
またそのままサラダにしてシャキシャキとした食感を楽しむこともできます。
料理では、鍋料理やサラダ、ちりめんじゃこおろしなどがおすすめです。
6.値段の目安
1袋200~300円
壬生菜
1.特徴
京都の菜類の中では、みず菜と壬生菜が代表的なものです。
このうち、みず菜は京菜ともいい、深く細かな切れ込みがあるのが特徴です。
一方、壬生菜は葉に切れ込みがありません。
壬生菜には独特の辛味とからしの香りがある点が特徴的です。
小さな根株から細い葉がいくつか出て、かたまりになっています。
葉は細長いヘラ型で、シャキシャキしているのが特長です。
京都市内の壬生地区で栽培されてきたことが名前の由来になっています。
現在は主に南区や南丹市でつくられています。
独特の辛味をもつ壬生菜の多くは、千枚漬けなどの漬物に利用されています。
2.旬
冬。10月~3月
(周年栽培)
3.選ぶポイント
葉がしっかりとしているものがオススメです。
葉幅が狭いものがよいでしょう。
4.保存方法
ぬらした新聞紙などに包んでビニール袋に入れ、立てて野菜室に入れましょう。
黄色く変色しやすいため、ゆでてから冷凍保存してもよいです。
5.料理
辛味を生かして和食だけでなくエスニック料理などにも利用できます。
また油とも合うので、炒め物にも適しています。
料理としては、ごまあえや浅漬けがオススメです。
また、スープやサラダにしても美味しく召し上がれます。
6.値段の目安
1束300~500円程度
参考文献
田中大三監修(2009)『まるごと京野菜 からだがよろこぶ京都ブランド』青幻舎
上田耕司(文)・星川新一(写真)(2003)『新撰 京の魅力 決定版 京野菜を楽しむ』淡交社
林義雄・岩城由子(1988)『京の野菜-味と育ち-』ナカニシヤ出版