コケとカエルは似たものどうし! 緑の庭に鳴き声が響く・法然院【MUUSU京都版vol.2】
※MUUSU(ムース)は、京都で住まいを探すコケの方のための物件情報サイトです。
街路樹の緑も一段とかがやく今日このごろ、コケの皆様はいかがお過ごしですか。
お天気が続き空気も乾燥していますが、たまに雨が降るととても嬉しいですよね。
MUUSU京都版vol.2では、コケとカエルのうたう庭・法然院をご紹介いたします。
左京区鹿ケ谷(ししがたに)に位置し、美しい森にかこまれた伽藍と、文人たちのねむる墓があります。
先日、雨上がりの法然院に足を踏み入れたところ、「こっこっこっこ……」という鳴き声がそこかしこで響いていました。
森の中、池の奥、建物の床下、ほうぼうから上がる声の主は、カエル。
コケの名所法然院は、カエルのコンサートホールでもあります。それではどうぞ。「カエルの合唱」#法然院 pic.twitter.com/klyeJyt61F
— Wa! (@Wa_weare) 2017年5月19日
カエル(両生類)とコケ植物は、海から陸に進出したはじめの種として共通項が多く、好きな場所もよく似ています。
コケの美しいことで有名な京都・法然院。
じつは、カエルの唄の名所でもあるのです。
コケとカエルの共通項
コケと水の切っても切れない関係は、前回の【MUUSU京都版vol.1】はじめよう! 京都でコケ暮らし+「コケの皇居」下鴨神社編でもご紹介いたしました。
カエルと水の関係も深いものがあります。
カエルは陸上に進出したはじめの動物・両生類の一種です。
陸上に進出したはじめの植物・コケと同じく、かれらもまた、水を離れては生きられないのです。
コケとカエルの共通項
〇からだの表面で呼吸と吸水が可能
〇反面、蒸発・乾燥の危険にさらされる
※クチクラ(キューティクル)をもたないコケ、毛やうろこのないカエル
〇生殖は体外・水中でおこなう(※カエルは両生類の中でも例外的)
これらの共通点から、コケは「植物の両生類」とも呼ばれます。
宿ったいのちをどう育てる? コケの造卵器、カエルのたまご
コケにとっての出逢いの季節は、梅雨です。
受精に水を必要とするコケにとって、毎年の雨がきちんと降るかどうかはとても重要。
コケの造精器から飛び出した精子は、細やかな葉の表面でコントロールされた水流を伝い、雌株の造卵器にたどり着きます。
造卵器には卵子が保管されており、受精卵はそこで胞子になるまで大切に育てられます。
いっぽう、カエルはどうでしょうか?
たいていのカエルの卵は、浅瀬や水草の上に産みつけられ、オタマジャクシになるのを待つことになります。
ほかに、母親の背中の上や胃の中で育つカエルの子もいるんですよ。
類は友をよぶ! コケとカエルのうたう庭・法然院
生態も好む場所も、とっても似ているコケとカエル。
みずみずしいコケのすむ庭は、カエルにも好かれています。
物件概要
□最寄駅:京阪電車出町柳駅
銀閣寺の南、哲学の道沿いに看板が出ています。
□日当たり:入口付近はやや薄暗いですが、庭の中はぽっかりと明るいです。
□水まわり:境内中央には池。
雨水鉢には、季節の花がかざられています。
方丈庭園(毎年4月と11月に公開)に湧き出る善気水(ぜんきすい)は、洛中名泉のひとつです。
□コケ仲間の住まい
□ほかの住民:カエル、シダ、地衣類、お墓で眠る文人たち(谷崎潤一郎、九鬼周造など)
□法然院HP:http://www.honen-in.jp/
参考文献
盛口満(2008)『コケの謎 ゲッチョ先生、コケを食う』どうぶつ社
ロビン・ウォール・キマラー(2012)『コケの自然誌』三木直子訳,築地書館
松井正文(2002)『カエルー水辺の隣人』中公新書