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法然院・茅葺門

コケとカエルは似たものどうし! 緑の庭に鳴き声が響く・法然院【MUUSU京都版vol.2】

MUUSU(ムース)は、京都で住まいを探すコケの方のための物件情報サイトです。

街路樹の緑も一段とかがやく今日このごろ、コケの皆様はいかがお過ごしですか。
お天気が続き空気も乾燥していますが、たまにが降るととても嬉しいですよね。

MUUSU京都版vol.2では、コケとカエルのうたう庭・法然院をご紹介いたします。
左京区鹿ケ谷(ししがたに)に位置し、美しい森にかこまれた伽藍と、文人たちのねむる墓があります。

雨のあとのスギゴケ@法然院雨のあとのスギゴケ@法然院

先日、雨上がりの法然院に足を踏み入れたところ、「こっこっこっこ……」という鳴き声がそこかしこで響いていました。
森の中、池の奥、建物の床下、ほうぼうから上がる声の主は、カエル

カエル(両生類)とコケ植物は、海から陸に進出したはじめの種として共通項が多く、好きな場所もよく似ています。
コケの美しいことで有名な京都・法然院。
じつは、カエルの唄の名所でもあるのです。

コケとカエルの共通項

コケと水の切っても切れない関係は、前回の【MUUSU京都版vol.1】はじめよう! 京都でコケ暮らし+「コケの皇居」下鴨神社編でもご紹介いたしました。

カエルと水の関係も深いものがあります。
カエルは陸上に進出したはじめの動物・両生類の一種です。
陸上に進出したはじめの植物・コケと同じく、かれらもまた、水を離れては生きられないのです。

池の奥からカエルの鳴き声がきこえる池の奥からカエルの鳴き声がきこえる

コケとカエルの共通項

〇からだの表面で呼吸と吸水が可能
〇反面、蒸発・乾燥の危険にさらされる
 ※クチクラ(キューティクル)をもたないコケ、毛やうろこのないカエル
〇生殖は体外・水中でおこなう(※カエルは両生類の中でも例外的)

これらの共通点から、コケは「植物の両生類」とも呼ばれます。

宿ったいのちをどう育てる? コケの造卵器、カエルのたまご

コケにとっての出逢いの季節は、梅雨です。
受精に水を必要とするコケにとって、毎年のがきちんと降るかどうかはとても重要。

コケの造精器から飛び出した精子は、細やかな葉の表面でコントロールされた水流を伝い、雌株の造卵器にたどり着きます。
造卵器には卵子が保管されており、受精卵はそこで胞子になるまで大切に育てられます。

雨の翌日、パッとひらいたスギゴケの造精器。キセルにたとえられる形の造卵器もみえる雨の翌日、パッとひらいたスギゴケの造精器。キセルにたとえられる形の造卵器もみえる

いっぽう、カエルはどうでしょうか?
たいていのカエルの卵は、浅瀬や水草の上に産みつけられ、オタマジャクシになるのを待つことになります。
ほかに、母親の背中の上や胃の中で育つカエルの子もいるんですよ。

類は友をよぶ! コケとカエルのうたう庭・法然院

生態も好む場所も、とっても似ているコケとカエル。
みずみずしいコケのすむ庭は、カエルにも好かれています。

物件概要

□最寄駅:京阪電車出町柳駅
銀閣寺の南、哲学の道沿いに看板が出ています。
□日当たり:入口付近はやや薄暗いですが、庭の中はぽっかりと明るいです。

入口の茅葺門は、庭の景色を額縁のように切り取る入口の茅葺門は、庭の景色を額縁のように切り取る

□水まわり:境内中央には池。
雨水鉢には、季節の花がかざられています。
方丈庭園(毎年4月と11月に公開)に湧き出る善気水(ぜんきすい)は、洛中名泉のひとつです。

花のかざられた雨水鉢花のかざられた雨水鉢

□コケ仲間の住まい

白砂壇(びゃくさだん)前白砂壇(びゃくさだん)前
本堂わき本堂わき
木の根元木の根元

□ほかの住民:カエル、シダ、地衣類、お墓で眠る文人たち(谷崎潤一郎、九鬼周造など)

コケとシダと地衣類@石垣コケとシダと地衣類@石垣

□法然院HP:http://www.honen-in.jp/

参考文献

盛口満(2008)『コケの謎 ゲッチョ先生、コケを食う』どうぶつ社
ロビン・ウォール・キマラー(2012)『コケの自然誌』三木直子訳,築地書館
松井正文(2002)『カエルー水辺の隣人』中公新書

writerWRITERこの記事の作者
手子

この記事を書いたひと 手子

学生ライター。「てこ」と読みます。ノーミュージックノーライフですが楽器は弾けません。
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