融資審査では法人が申込者であっても信用情報の調査が行なわれています。
融資に限らず法人カードといったクレジットカードでも同様の信用調査が行なわれます。
これらの審査ではどのような信用調査が行なわれているのでしょうか?
今回は法人の信用調査に関して徹底的に解説をしましょう。
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【ライター】嶋崎 -
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個人信用情報機関でも法人情報を提供している
個人信用情報機関は名称の通り個人に関する信用情報を加盟会員会社に提供しています。
消費者金融系のJICC(日本信用情報機構)、クレジット系のCIC(シー・アイ・シー)、銀行系のKSC(全国銀行個人信用情報センター)の3社が日本では個人信用情報機関と呼ばれています。
この中でJICCだけは法人情報も提供しています。
JICCが収集する法人(BL)信用情報
JICCでは加盟各社から下記の法人情報の提供を受けています。
法人特定情報 | ・法人名 ・代表者名 ・所在地 ・電話番号等 |
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連帯保証人(代表者)の 本人特定情報 |
・氏名・生年月日・性別 ・住所・電話番号 ・勤務先・勤務先電話番号 ・運転免許証等の記号番号等 |
契約内容 | ・登録会員名(融資利用先) ・契約の種類・契約日・貸付日 ・契約金額・貸付金額・保証額等 |
返済状況 | ・入金日・入金予定日 ・残高金額 ・完済日・延滞等 |
上記の情報は個人信用情報と同じように、JICC加盟会社が審査を行なうときに参照することが可能です。
法人であることを除けば個人信用情報と同様の信用情報を取得して提供していることになります。
データの保存期間もほとんどが契約期間中または契約終了後5年以内となっています。
ただし、延滞情報だけは発生日から1年以内の保管です。
法人信用情報も開示請求ができる
個人信用情報と同じようにBL信用情報も開示手続きをすることができます。
1.JICCホームページから信用情報開示申込書をダウンロード
2.会社の登記簿謄本と代表者(開示請求者)の本人確認書類を準備
3.1と2の書類を定額小為替証書1,000円分とともにJICCに郵送
4.JICCが開示報告書を郵送
手数料は速達または本人限定受取郵便で送付希望の場合300円の加算、速達と本人限定受取郵便同時の場合は600円加算となります。
店頭で申請する場合、手数料は500円となります。
また、開示対象となるのは法人代表者なので、代表者の本人確認資料は有効なものを事前に確認しておきましょう。
融資の申込前に信用情報開示をしたり、申込が却下された場合に申請して却下理由を確認したりという場合に利用しましょう。
法人信用情報の開示方法は店頭開示と郵送開示しかなく、個人のようにインターネット開示はできないので注意しましょう。
JICCが保有する法人信用情報の影響
CICやKSCでは法人情報の提供はしていませんが、連帯保証人の情報は提供しているので、法人申込で代表者が連帯保証人となった場合は個人情報として登録されます。
また、JICCの加盟会社は消費者金融だけでなく、銀行やクレジットカード会社も加盟しています。
つまりBL信用情報は銀行融資や法人カードの審査にも影響があることがわかります。
個人信用情報機関の情報共有
JICC・CIC・KSCの3社間では情報の共有が行なわれているので、簡単に解説しておきましょう。
JICCとCIC
JICCとCICは貸金業法と割賦販売法で定められた「指定信用情報機関」に登録しています。
そのためJICCとCICは会員情報を共有しているので、クレジットカードで延滞があっても消費者金融の利用に影響があります。
JICCとCICの共有システムは「FINE」と呼ばれています。
CRINシステム
JICC・CIC・KSCの3社間でネガ情報の交流が行なわれています。
そのため保証会社付きの銀行融資での代位弁済(保証会社の立替払)情報も、クレジットカード会社や消費者金融会社に伝わります。
融資審査と信用情報
具体的に融資審査では法人信用情報はどのくらい影響があるでしょうか?
一般的な審査と信用情報の関係について解説しましょう。
過去の利用歴が重要
融資審査では返済能力以外では過去の融資の利用実績が重要視されています。
法人カードでは過去のクレジット利用歴(クレジットヒストリー)が重要なのと同じです。
年収や返済能力が十分にあることは審査としては重要なポイントですが、過去の利用状況はより返済能力を裏付ける証拠となります。
実際に延滞せずに支払いをしたという実績は、返済能力を具体的に証明していることになるからです。
反対に長期延滞や延滞回数が多い履歴は、返済能力がない裏付けになります。
このことから法人でも個人でも信用情報が審査に与える影響は大きいということがわかります。
ネガ情報とポジ情報
信用情報はポジ情報とネガ情報に分けることができます。
ポジ情報は延滞がなく正常に支払いが続いている情報や延滞なく完済した情報です。
ネガ情報は延滞歴がある情報のことで、特に3ヶ月以上の延滞は事故情報として登録されます。
ネガ情報は常に審査にはマイナスの影響がありますが、ポジ情報がすべて審査にプラスになるとは限りません。
正常完済の情報はプラスになりますが、残高が多すぎたり利用件数が多すぎたりといった場合は延滞していなくても審査にマイナスの影響があります。
同一法人に融資できる金額には限度があるので、債務過多と判断されることがあるからです。
個人信用情報も法人審査に影響がある
銀行などの金融機関の法人融資審査であっても、代表者個人の信用情報も影響があります。
中小企業代表者は法人申込の場合、法人代表者が連帯保証人となります。
保証人個人の信用調査も行なわれるので、過去の融資やクレジットの利用状況が悪ければ審査が却下されることもあります。
法人経営者は個人の利用であっても金融事故などには十分注意しないと、会社経営にも影響があることを十分理解しておきましょう。
民間調査機関のデータも影響する
JICCで提供している法人情報は融資やローンなどの利用歴にとどまっています。
しかし法人の事故歴には過去に倒産した事実や手形不渡り、銀行取引停止などの情報もあります。
これらの情報は個人信用情報機関では提供していません。
東京商工リサーチや帝国データバンクといった民間信用調査機関が、オンラインでデータを提供しています。
法人審査を取り扱う金融機関やノンバンクではこれらのサービスを利用して法人の過去の事故歴を調査しています。
法人代表者が個人として気をつけること
銀行融資以外でもノンバンクのビジネスローンや個人のカードローンに関しても、個人として気をつけるべき点を解説しましょう。
個人事業者の場合
個人事業者の場合は事業と個人利用の境目があいまいなので、個人利用であっても返済の延滞は事業に直接影響があります。
事業融資であっても常に個人名義での申し込みとなるので、過去の個人利用での事故歴は申し込み却下につながるからです。
そのため融資に影響がないようにするためには、すべての支払いをきちんとする心がけが必要です。
携帯電話(スマホ)本体の分割払いや奨学金の支払い延滞も、個人信用情報機関に登録されるので充分注意しましょう。
法人代表者の場合
法人代表者の場合は個人事業主ほどではありませんが、個人利用も審査に影響があります。
法人として十分な返済能力があれば、代表者の利用歴に多少問題があっても法人としての実績が優先されます。
しかし、どれくらい審査に影響力があるのかは、金融機関の判断によって違うでしょう。
個人事業主と同じように個人利用にも十分注意することが必要です。
信用情報のデータ保有期間
ネガ情報でもポジ情報でも個人信用情報機関のデータ保有期間は基本的に5年間となっています。
これは審査をするときは最新の情報を参照して判断するということが基本だからです。
そのため10年以上前の情報に基づいて判断することは、間違った判断につながるため5年が限度となっています。
ただし個人信用情報機関によって発生日から5年という場合と、完済から5年というケースがあるので、注意しましょう。
確実なのは情報開示請求を行なって情報が消えているかどうかを確かめることです。
まとめ
融資審査では法人信用情報も個人信用情報も審査結果に大きな影響があることがお分かりいただけたでしょうか。
法人の融資申込だから個人の信用情報は関係ないと思っていると、審査で却下されることになりかねません。
普段から個人利用であっても支払いはきちんとすることが重要です。
個人融資。法人融資に限らず審査は信用力を重要な判断基準としています。
信用力は単に収入だけではなく、延滞せずにきちんと支払うことで築かれるものです。
審査を通過した後も最後まできちんと完済して初めて金融機関に対する信頼を得ることができます。
それを何度も繰り返すことで信頼を確実なものにしていきましょう。