日本政策金融公庫は中小企業向けに低金利の融資を行なう国の金融機関です。
事業資金調達方法としては銀行がありますが、無担保で貸し付ける上に低金利なので、銀行よりも先に検討すべき金融機関です。
開業時の設備資金から運転資金まで用途に合わせて豊富な融資制度があるのも魅力です。
今回は日本政策金融公庫の融資制度から審査までを詳しく解説しましょう。
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【ライター】嶋崎 -
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日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫ではさまざまな融資事業を行なっていますが、今回は中小企業向け融資に関する解説をします。
対象となる中小企業は規模が決められていて、資本金または従業員数のいずれかが該当すれば対象となります。
対象業種 |
対象規模 |
製造業、建設業、運輸業など |
資本金3億円以下または従業員300人以下 |
卸売業 |
資本金1億円以下または従業員100人以下 |
小売業 |
資本金5千万円以下または従業員50人以下 |
サービス業 |
資本金5千万円以下または従業員100人以下 |
普通貸付
金融業、投機的事業、一部の遊興娯楽業等の業種を除いたほとんどの業種が対象となる最も一般的な貸付が普通貸付。
・融資限度額:四千八百万円(運転資金・設備資金)、7千2百万円(特別設備資金)
・返済期間:運転資金5~7年(据置1年以内)、設備資金10年(据置2年以内)、特別設備資金20年(据置2年以内)
・利率:基準利率(無担保1.81%~2.20%、担保あり1.61%~2.15%)
普通融資に限らず提供する担保がない場合は、条件付きで無担保・無保証人(法人は代表者保証必要)での取扱が可能です。
無担保の場合、融資限度額は四千八百万円で、税務申告を2期以上行なっていることが条件です。
新企業育成貸付
新規の事業に関して貸付を行なう制度で、新規開業から7年以内の場合に貸付が可能です。
融資期間は共通で設備資金20年、運転資金7年。据置期間は新事業育成資金の5年以外は2年。
融資限度額も新事業育成資金の6億円以外は7億2千万円(内運転資金2億5千万円)
■新事業育成資金
高い成長が見込まれる新規事業が対象。新規性と成長性の認定が必要。
・他の企業で利用されていない知的財産権にかかる技術を利用して行なう新事業
・中小企業技術革新制度(SBIR)にかかる特定補助金等の交付決定を受けて開発した技術を利用して行なう新事業
・エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)の適用要件を満たす中小企業者が行なう新事業
・利率は特別利率3(7年0.31%、20年0.5%)
■女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若年者(30歳未満)または高齢者(55歳以上)が融資対象。融資金額2億7千万円以下は特別利率が適用されます。
女性や対象年齢となっている人はこちらの融資を利用すると金利負担も少なく返済もしやすくなります。
上記以外にも「新事業活動促進資金」「中小企業経営力強化資金」「再挑戦支援資金(企業再生貸付)」などがあるので、事業内容に合わせて選びましょう。
企業活力強化貸付
■企業活力強化資金
中心市街地の活性化を目的とした資金のため、卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業など幅広い業種が対象となっています。
しかし、資金使途が限られているので以下の事業に必要な説資金や運転資金が対象です。
・合理化、共同化を図るための設備の取得
・セルフサービス店の取得
・集配センターの取得(卸売業者に限る)
・ショッピングセンターへの入居(卸売業者を除く)
・販売促進・人材確保
・新分野への進出(異業種参入)
・訪日外国人旅行者対応
金利は業種や融資金額によって違いますが、基準利率または特別利率3。
■IT活用促進資金
企業内でネットワークを構築する、取引先とデータ通信を行なうといった場合に活用できる融資です。
ソフトを含むコンピューターや端末機などの周辺機器の購入に利用できます。基本的に特別利率が適用されるので金利面でも優遇されています。
上記以外にも「海外展開・事業再編資金」「地域活性化・雇用促進資金」「中小企業会計活用強化資金」「事業承継・集約・活性化支援資金」と言った融資制度もあります。
協調融資・連携融資
日本政策金融公庫では単独での融資の他に全国の商工会議所との連携融資や金融機関と提携した協調融資も行なっています。
■日本政策金融公庫と提携している金融機関等
・商工会議所、商工会
・税理士、公認会計士、中小企業診断士などの認定経営革新等支援機関
・地域金融機関
協調融資は日本政策金融公庫と金融機関が融資割合を決めて双方で融資を行なうものです。
連携融資は連携先が申し込みの受付やアドバイスなどを行ない実際の融資は日本政策金融公庫が行なうというしくみです。
連携や協調により融資窓口が広がり相談や経営指導もしてもらえるので審査通過率も高くなるメリットがあります。
日本政策金融公庫の申し込み
それでは日本政策金融公庫申し込みの流れや必要書類などを解説しましょう。
申し込みの流れ
まずは日本政策金融公庫の各支店にある中小企業事業の窓口に直接相談をします。
支店は各都道府県の主要都市にあるので、居住地から遠い場合は事前に連絡して二度手間にならないようにしましょう。
相談だけでも「会社案内」「決算書」「事業計画書」は持参したほうがより詳細な相談ができます。
融資の対象になることがわかったら必要書類とともに申し込みをし、審査を経て融資実行となります。
申し込みの前によく窓口で相談をすることが大切です。
特に金利や担保・保証人が必要かどうか、返済額については納得するまで相談しましょう。
必要書類
申し込みに必要な書類は担保物件の有無や融資の種類によって違いがありますが、基本的には下記の書類が必要です。
・会社案内、製品カタログなどの参考資料
・法人の登記事項証明書
・最新3期分の決算書・税務申告書
・納税証明書
・最近の試算表(決算月から時間が経っている方)
・設備投資を行なうときは、概要のわかる資料(見積書等)
・担保の内容がわかる資料(登記事項証明書など)
どの融資を受ける場合でも所得税などの滞納があれば申し込みは受け付けられないので、納税証明書は納付後の延滞がない証明書を取得しましょう。
連帯保証人
日本政策金融公庫の融資は担保設定が絶対条件ではありませんが、そのかわり基本的に連帯保証人が必要です。
第三者の保証人が望ましいですが、身内でも勤務年数が長いなど返済能力があれば連帯保証人になれます。
無担保・無保証人の融資もありますが、業種が限定されたり、金利が高くなったりといったデメリットもあるので、なるべく連帯保証人を付けることをおすすめします。
連帯保証人を付けることで保証人には迷惑をかけられないという意識が芽生え、事業を継続する上でのモチベーションになるという効果もあります。
ちなみに女性には特例があり300万円までの小口融資は無担保・無保証なので、女性は積極的に活用するといいでしょう。
審査を受ける上での心構え・コツ
日本政策金融公庫は基本的に融資の使いみちや対象業種、融資条件をクリアしている場合は積極的に融資を行なうという姿勢があります。
政策上行なっている融資なので銀行に比べると新規事業にも積極的に融資します。
しかしそれでも審査を通りやすくするための準備は必要となります。
最初は少額融資から始めよう
日本政策金融公庫でも初めての融資先には慎重になります。
過去の実績がないので判断材料が少ないというのが理由ですが、いきなり高額の融資を申し込みするのはなるべく避けましょう。
申込金額は最初は少額にして融資を数回繰り返し、きちんと支払能力を示すことで高額融資の審査が通過しやすくなります。
返済能力を示すには実際に支払いをして実績を作ることが最も効果的です。
審査担当者の面談が大事
支店窓口では審査担当者に申し込みの相談をすることになりますが、その審査担当者があなたの代わりに上司である融資決裁者を説得して初めて融資実行に結びつきます。
つまり審査担当者を説得できるかが融資実行の決め手になります。
しかし、説得力はそれほど必要なく、むしろ事実をありのまま伝えることのほうが重要です。
マイナス材料も隠さず伝え、それを上回るプラス材料も提示することがポイントです。
あとでマイナス材料が発覚したときのことを考えると、マイナス材料を十分に認識しているということを伝えたほうが得策です。
もちろん事業計画や返済計画・収支計画はきちんと立てておくことは当然のことです
ビジネスローンは先に申し込まない
個人事業主や法人代表者の個人信用情報機関の記録も審査の対象となります。
念のためにカードローンも申し込みしておこうと考える場合は申し込みの順番を間違えないようにしましょう。
日本政策金融公庫はクレジット系の個人信用情報機関CICに加盟しているので、カードローンの申し込み記録などがあると審査に不利になる場合があります。
法人や自営者向けのビジネスローンは審査も早いので日本政策金融公庫の融資結果が出てから申し込みしても十分に間に合います。
ビジネスローンは基本的に日本政策金融公庫や銀行の審査に通らない人も対象にしているので、日本政策金融公庫の融資却下は審査には影響ありません。
申し込みの順番は日本政策金融公庫を優先しましょう。
まとめ
事業をする上で自己資金が十分にあれば、それにこしたことはありませんが、現実的にはなかなか難しいことです。
日本政策金融公庫は創業時に低金利で充分な資金を到達できるので経営者としては第一に考えるべき資金調達先です。
日本政策金融公庫をうまく活用できるかどうかがその後の事業展開には大きな影響があるので、十分に準備をしてから申し込みしましょう。