ビズローン編集部がお届けする、事業主インタビュー。
お話をうかがったのは、新潟県新潟市中央区古町で、うさぎ専門グルーミングショップ『あなたとうさぎ』を経営している小野智弘さん。
実際に開業するまで苦労したことや、資金調達までに要した時間など、ざっくばらんにいろいろ語っていただきました。
これから開業を目標にしている方や、開業に必要な資金面の準備について知りたい方は必見です。
小野智弘さんのプロフィール
うさぎ専門のグルーミングショップを立ち上げたきっかけ
小野さん、本日はよろしくお願いいたします!
まずはうさぎ専門グルーミングショップ『あなたとうさぎ』を立ち上げたきっかけについて聞かせてください。
よろしくお願いします。
専門学校を卒業後、関東にあるうさぎ専門の動物病院に4年ほど勤務していました。
退職後、地元新潟にある動物の専門学校で講師をしたことで、首都圏と地方ではうさぎを専門とする知識を持った先生が少ないという点に気づきました。
飼い主さんからうさぎについての質問や相談があっても、専門的な知識をもとに具体的な返答をする先生が少なかったんです。
関東の動物病院で働いた経験のある自分なら、「新潟に暮らすうさぎと飼い主さんの力になれる」と感じたのがきっかけですね。
飼い主さんが、うちの子をどうにかケアしてあげたいと思っても、新潟には相談する場所がありませんでした。
なかには仕方なく関東の病院に行った方もいました。
ありがとうございます。
そういった状況を目の当たりにしたとき、「うさぎ専門の病院や相談場所がないなら自分でやればいいじゃないか」と感じて、準備を進めていきました。
ちなみに小野さんは、経営について学んだ経験があったのでしょうか。
なにもかも初めての経験でしたが、最終的に銀行から融資を受けて、2022年8月に『あなたとうさぎ』をオープンしました。
事業者向けローンを利用したきっかけ
そうですね。
地元新潟にある、第四北越銀行から250万円の融資を受け、開業準備をすすめました。
決め手は新潟市が行っている、事業支援が受けられるという点です!
たとえば支援を受けると、融資の際の金利がすこし低くなったり、店舗賃貸料の一部を補助してくれるという内容です。
やはり金利です。
はじめての融資で右も左もわからない状況でしたが、融資はいわゆる借金なので、なるべく低い金利で利用できるという点が重要でした。
融資先の候補としては、日本政策金融公庫も検討しました。
しかし新潟市の事業支援制度を活用するほうが、さまざまな支援を受けられたので、最終的に第四北越銀行の融資を選択しました。
メガバンクやノンバンク系の融資商品を利用しなかった理由
そうですね。
たとえば、みずほ銀行やアイフルビジネスファイナンスなどの、大手金融機関が提供するビジネスローンを選ぶという選択肢もありました。
担当者と面と向かって話ができる地方銀行だと、その場で質問に答えてくれたり、はじめての融資に対する不安な気持ちを取り除けたんです。
開業までに1人で奔走していたこともあり、悩むと内向的になってしまうなと感じることがありました。しかし担当者の方と話すと、気持ちが明るくなったというのが良かったんです。
私自身、開業に必要な知識がまったくなかったんです。
そのため不安な気持ちや、何から始めたらいいのかわからなく、くすぶっていた時期がありました。
しかし「やるぞ!」と決めてからは早かったですね。
結果的に約7ヶ月〜8ヶ月で開業にいたりました。
開業までの期間に苦労したこととは
準備期間で苦労したことは2点です。
1つ目は事業計画書の作成、2つ目は物件探しです。
事業計画書もまったくわからないところから始めたので、最初に作成した事業計画書を銀行へ提出した際は、経営戦略や数値計画などの指摘を受けました。
そのたび練り直して提出をするという日々を繰り返していたので、苦労しましたね。
そうですね。
知識もない分苦労しましたが、約3ヶ月間かけて作り上げ、プレゼンした結果、なんとか250万円の融資を受けられました。
なかなか契約できないという点です。
オーナーに「個人事業主です」と伝えると、やはり収入面の不安からか拒否反応をしめす方が多かったです。
また契約できる直前の段階で、動物NGという理由で破談に終わるケースもあったのが辛かったですね…
とはいえ約3ヶ月で現在の物件を契約でき、無事にオープンできました!
運転資金として借り入れて開業の夢を叶える
ちなみに融資された資金は、創業資金として借り入れたのでしょうか?
第四北越銀行から借り入れた250万円は、創業資金ではなく、運転資金として借り入れました。
私の場合は、事業計画書を作成するタイミングで、7割・8割を経営していく運転資金として事業計画書を作りました。
そのため借り入れた資金は、店舗の家賃や商品の仕入れのほか、自分の給料に充てています。
なのでほとんど無賃で働いています(笑)
ちなみに開業資金は、自己資金で賄いました。
自己資金として、100万円を開業資金として利用しました。
幸いにも、現在の店舗物件が綺麗だったこともあり、内装費はほとんどかかりませんでした。
しかし商品の仕入れや店舗を継続して運営していくための資金としては、不足していたため、銀行から借り入れたんです。
融資で借り入れた資金は、万が一のときのために利用せず運営しています。
これからリピーターさんを増やしていければ、事業も安定してくると考えています。
開業初期は苦しいけど、夢を叶えられた喜びには変えられません。
銀行融資のイメージと継続的な利用について
銀行融資は借金なので、融資を受けたあとも不安な気持ちは変わらないです。
借金は借金ですし、なんなら金利プラスで返済しないといけないので、不安感や恐怖感は日々感じています。
しかし融資を受けてでも自分の夢を叶えたかったので、後悔はしていません。
もちろん返済に対する恐怖感はあります。
けれど地方に暮らすうさぎと飼い主さんの生活を支えたいという想いのため、一歩踏み出せました。
返済に対する恐怖感もあるようですが、夢を叶えるには必要不可欠だったんですね。
これからも継続的に融資を受けたいと感じていますか?
そうですね。
継続的に融資を受けたいと考えています。
しかし融資を受けると決断するときの決め手が1つあります。
それは新潟市の事業支援制度が存在し続けているかどうかという点です。
私が『あなたとうさぎ』を開業するにあたって、新潟市の事業者向けの支援制度は、非常に心強かったです。
なるべく円滑に事業を運営していくうえで、金利負担は少ない方がいいと思います。
支援制度によって金利負担が軽減されるなら、継続的に融資を受けたいと考えています。
ちなみにメガバンクやノンバンク系のビジネスローンは視野に入れていますか?
新潟市の支援がなくなったら検討すると思います。
しかし金利が高いという点がネックです。
そのため日本政策金融公庫の利用が、第一候補になるかと思います。
それぐらい金利負担を軽減するというのが私の考えです。
そのために新たな事業計画書の作成に奔走すると思います(笑)
事業拡大に向けた今後の展望
ちなみにこれから事業拡大にむけて展望はあるのでしょうか。
私の運営している『あなたとうさぎ』を全国展開したいというような考えは、いまのところありません。
新潟に暮らすうさぎと飼い主の生活を豊かにしていきたいというのが、私の想いであり夢です。
しかしグルーミングだけではなく、うさぎ専門のペットホテルや事情があって飼えなくなってしまったうさぎを保護し、譲渡するという事業もできたらいいなと考えています。
犬や猫と比べてうさぎと暮らしている人の母数が少ないため、スポットが当たりにくいので、私ができればと思っています。
現在の事業が軌道に乗って、しっかりと利益をあげられれば、将来的にやってみたいですね。
これから開業や融資を受けようと考えている人にアドバイス
アドバイスというほどではないですが、「やるんだ」と決めたらすぐに動き出してもらうといいのではないかと思います。
実際わたしは経営に関する知識や融資について、さっぱりわからないところからスタートしました。
しかし地元の相談所に行って話してみると、アドバイスをもらえて、そこから徐々に準備できたので良かったと感じています。
そうですね。
ネットだけでは想いまで伝わらないかもと考えた結果、地元の銀行を利用するのが自分には合っているように感じました。
また事業計画書をしっかり作るという点も重要です。
実際私も苦労したので・・・
事業計画書に漏れや指摘箇所が複数あると、納得してもらえず相手にすらしてもらえないかもしれません。
約3ヶ月で銀行に納得してもらえる事業計画書を作成できましたが、大変だったので事前に知っておいてもらいたいなと思います。
金利負担を軽減したいのか、融資のスピード感を重視するのかで選択肢が多岐にわたりますね。本日はありがとうございました!
小野さんが検討した日本政策金融公庫について
小野さんが融資を検討していた、日本政策金融公庫は、政府の政策を実施するために設立された政府系金融機関のひとつです。
とくに中小企業向けに民間金融機関ではできない、低めの金利で融資を提供し、運転資金の調達を容易にする目的があります。
そのため日本政策金融公庫の制度融資は、低めの金利かつ無担保で利用できるのです。
中小企業経営者や個人事業主にとって、日本政策金融公庫の融資に関する知識は不可欠といえるでしょう。
当サイトでは、【日本政策金融公庫から融資を受ける前に知るべきこと】という記事で申込方法や融資制度について詳しく解説しています。
小野さんが利用した新潟市の起業支援について
小野さんがこれからも注目したいとお話されていた、新潟市の起業支援。
詳しい内容を確認したところ、以下8つの支援事業があるようです。
- 創業相談窓口
- 特定創業支援等事業(創業支援等事業計画)
- 中小企業開業資金(運転資金、設備資金)
- チャレンジショップ
- 創業サポート(店舗)
- 創業サポート事業(オフィス)
- 新潟雇用労働相談センター
- にいがた未来想像部(創業機運醸成事業)
漠然と創業を考えている方は、創業相談窓口での相談がおすすめ。
年間1,000件を超える創業相談実績があり、イメージが具現化していない方はまずは対面で話してみるといいでしょう。
小野さんも対面での話が、自分にとって活力になったとおっしゃっていたので、悩んでいる方はぜひ利用してみてください。
執筆者からのコメント
お話を聞かせていただいたのは、新潟県新潟市中央区古町にある『あなたとうさぎ』のオーナー、小野智弘さんでした。
開業に関する知識のないところからのスタートされましたが、銀行融資を経て夢への第一歩を踏み出されました。
お話を聞いていて、地元の銀行を利用する良さや、さまざまな支援制度があると知った方も多いはず。
これから資金調達したいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
また当サイトでは資金調達に関するお悩みや、知識をまとめた記事が多数あるので、当サイトで経営に関する悩みを解決してもらえると嬉しいです。
飼っているうさぎのグルーミングや相談をしたい方は『あなたとうさぎ』にご来店ください。