ビズローンのプロフェッショナルインタビュー!
今回は、税理士・公認会計士事務所 原田会計の原田秀樹先生のパーソナルな情報に迫る番外編です。
監査法人で11年間勤務した後、2019年に独立したばかりの原田先生。
原田先生が会計士を目指した意外なキッカケから、プロフィールを掘り下げていきます。
原田秀樹
1983年、京都市生まれ。
京都大学経済学部を卒業後、監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)京都事務所入所。
監査法人にて、公認会計士として製造業、卸売業、金融業、小売流通業、病院、学校法人の会計監査に従事し、多くの企業を内部から分析する力を養うとともに、監査法人内のアドバイザリ部門(コンサル部門)にて、内部統制の高度化や会計不正の防止に関する支援業務に従事。
2019年に独立し、税理士・公認会計士事務所 原田会計をスタート。
-
竹内ゆみ -
はじめまして!
ビズローン編集部の竹内ゆみです。
ビズローンでは専門家の方へのインタビューを担当しています。
実は私、おじいちゃんが経営者なんです。
専門家のみなさんにお話を伺って、
経営者の悩みにこたえられるように日夜励んでいます。
中学時代に塾の先生の一言で会計士を目指す
ずばり、中学生の時に通っていた地元の塾の先生に「税理士って儲かる仕事だよ。公認会計士になったらもっと儲かるよ」って言われたからです(笑)
小学校2年生からそろばんを習っていて、もともと数字をいじるのが好きだったことも理由でしたね。
そうですね(笑)
その当時は、会計士や税理士がどんな仕事なのかは知りませんでしたし、ただ憧れていただけでした。
残念ながら、会計士を目指したキッカケとなった塾の先生とは今は全く接点がなくて、自分が会計士になったことを報告できていません。
でも、この前驚くことがあったんです。
京都で経営者の集まりに参加していたら、ある経営者さんに見覚えがあって…。なんと、その人は僕が通っていた塾の塾長でした。
今はもう塾長を辞めて、出版業をされています。
中学生の時は、さすがに会計士や税理士の試験勉強はしていませんでした。
「自分は会計士とか税理士とかの方面に行くのかな」と頭の片隅でぼんやりと考える程度でしたね。
そうですね…。高校の時に文系理系でクラス分けがあるじゃないですか?
当時の私は数学が好きだったので、そのままいけば理系に進んでいたと思います。
ですが、「会計士」という言葉が頭の片隅にあったので、文系に進みました。
実は、会計士って数字を扱う仕事なのに文系出身が9割なんですよ。約7割が経済学部・経営学部・商学部で、残りの2割が法学部。で、1割が理系というところでしょうか。
そんなことはないですよ。
会計士試験には選択科目というのがあって、当時は経済・経営・民法・統計の4科目から選ぶ形でした。(※現在の公認会計士試験も同様)
多くの人が経済学部出身だから、経済か経営を選ぶんですよ。でも統計学はゴリゴリの数学なので、文系の人はあまり選ばないんですね。逆に理系の受験生は選びやすいんじゃないでしょうか。
ちなみに僕は経済学部出身ですが、統計学を選んで合格しています。
そうですね。実際、統計学で受かって会計士になった人はほとんど知らないですね。
それぐらい統計学を選ぶ人は少なかったのですが、僕は理系脳なのもあって統計学を選びましたね。
だから数字を扱うような…言い方を変えてみると、数字をこねこねするのは好きなんですよ。
大学時代は会計士を目指すゼミに所属
僕が通っていた京都大学の経済学部には、1年次からプレゼミというのがあるんです。
僕は上総ゼミという管理会計の先生のゼミ所属でした。
会計士になりたい人が集まってくるゼミなので、確かゼミ卒業生の4割ぐらいは、公認会計士です。
同窓会行くと会計士ばっかりで、えらいことになりますよ。
会計士にならなかったゼミの同期も、有名な電力会社、パソコンメーカー、海外勤務など、さまざまな進路に進んでいます。
いつからだったか記憶が曖昧ですが、はじめは自分で通信教育を受けて頑張ろうと思っていました。
ダブルスクールにしたのは途中からです。
ゼミ全体でみても、ダブルスクールをしている人は多かったですね。
それにゼミの後輩では、在学中に公認会計士の資格をとっている人も二人いました 。
でも、僕は大学時代、バイトとゼミに明け暮れていたので、あまり真剣ではなかったんですよね。
資格を取ったのも大学卒業後でした。
いや、卒業後は仕事には就かず、会計士の勉強をしていました。
実は大学卒業直前に妻と結婚したので、僕には妻に養われていた期間がありまして(笑)
主夫業をしながら、主夫と公認会計士の勉強を両立していました 。
そうなんです。もうね、会計士の試験なんて博打みたいなものですよ(笑)
会計士の資格は、最近は昔に比べて受かりやすくなっているとは聞きますが、受かってなんぼなんです。受からなかったらただの無職です。
そんな状況で受からなかったらと思うとゾッとします(笑)
博打にするわけにはいかなかったですね。
監査法人で働いていたのは11年ぐらい…はっきり言って、監査法人に長居しすぎたかな、と。
独立するならもっと早く出てもよかったんじゃないかなと今は思います。
組織に向いていないから会計士として独立を決意
多分、「自分は会社組織に向いていないんだな」って気づいてしまったからですね(笑)
私の性格の弱点とすら思っていますが、自分は組織の中での出世には向かないと思っていて、監査法人をやめた理由の1つです。
確かに監査法人は会計士の集まりで、呼び方も”会社”ではありません。
ですがそこで雇われる人たちはみんなサラリーマンみたいなもので、会計士の集まりではあっても結局会社なんですよ。
サラリーマンが出世しようと思ったら、サラリーマンの流儀があるじゃないですか。
本業の実力はもちろんですけど、性格的なところとか上司とのめぐりあわせとか。
8年目から10年目ぐらいまでは、「自分も組織に向いているのではないか」と幻想を抱いていた期間でした(笑)
監査法人をやめて独立すると決めてからは、動くのが早かったです。
もちろん受け持っていた仕事には責任もあるので、上司に言ってから辞めるまでの期間は半年以上ありました。
まずは、自分しかいないので、全部自分でやらないといけないことが大変ですね。
組織の中にいたら色々なものが用意してあって、知らない間に物事が進んでいるじゃないですか。
だけど独立したら請求書とか支払いとか、そんな事は全部自分でやる必要があるので、雇われ時代の事務方職員のありがたみが分かりますね(笑)。
当然そうですね。独立して大きく変わったのは、自分で営業することだと思います。
監査法人にいた時はトップ層の人たちが営業をするので、今までの僕は営業をしたことがなかったんですよ。
“トップ層が営業でとってきた仕事を雇われている職員達に任せる”というのが監査法人の仕組みです。
ですが会計士として独立すると、今まで経験がなくても、自分で営業していかないといけません。
営業の手法なんて全く分かっていない独立した会計士は、みんな悩むところだと思います。
会計業務や税務は目に見えないものを売りに行く仕事なので、信用がなかったら、なかなか買ってもらえないですね。
いやいや、ムリです(笑)
独立した誰もが通る道ですが、どうやってお客さんから信用を得るかというところに悩むと思います。
会計士や税理士の業務は飛び込み営業ができない以上、独立している先輩からお仕事を分けてもらうとか手伝わせてもらうとかはよくありますね。
人を頼るのも自分の力ですが…。本当の自分の自身の力で営業できているのかというと微妙なところで…。
私の場合はフットワークが軽い方だと思っているので、年齢層の異なる経営者の集まりに積極的に参加するなど、人脈を広げて泥臭くやっている最中です。
今は人脈を広げて、信用を得るための期間だと思っています。
原田先生のこれからの展望
とりあえず今は自分が学んできたことや、経験してきた会計士や税理士の仕事をアウトプットする機会が欲しいですね。
まだ独立したばかりなので、巡り合わせによっては同じ仕事ばかりになるかもしれません。
ですが、私の望みとしては税務の仕事を何割かやりつつ、新しい人と新しい仕事を作り上げていきたいという思いはあります。
そうですね。僕にとっては、今いただく仕事は全て新しい仕事です。
だから、これを言うと業界の諸先輩方には怒られるかもしれませんが、「何でも受け入れる」が今の僕のモットーです。
いただいた仕事を精一杯やらせてもらって、その中から自分がもう1回やってみたいという仕事を見つけ出していきたいなと。
独立を目指す後輩への思い
最後にもう1つ。
独立して会計士をしている目的を伝えてもいいですか?
実は今、独立する会計士が減ってきていると思っているんです。
会計士として独立した私の責任は、業界の後輩達に「独立してもちゃんと生きていける」という姿勢を見せることだと思って取り組んでいます。
少々悪い言い方をしますね。
独立する会計士が減っている理由は、所属する監査法人に飼い殺されている会計士が増えているからだと思います。
会計士が監査法人の中で監査の仕事だけをやっていると、独立した時に自分の武器と呼べるようなスキルが身に付きにくいんですよ。
だから、「独立した後に、どうやって生きていこう」という不安を持った会計士も少なからずいると思います。
監査法人に入って監査だけを続けて、年数を経れば経るほど独立しにくくなる傾向があるんじゃないかなと思っています。
仮に僕が独立に失敗して監査法人に戻ったとしたら、やっぱり独立はきついのかなと周りに不安を与えてしまいます。
僕は会計士という資格が嫌いじゃないし、もっとちゃんと認知されて、生活できる資格であってほしいです。
そのためには、独立した自分がちゃんとしないといけないと感じています。
やっぱり難しいと言われる試験を経て、公認会計士になっているのでね。
「公認会計士の価値が落ちないように、なんとかしたいな」と今は考えているところです。
インタビューを終えて
原田先生は、中学生の時に塾の先生の何気ない一言で会計士を目指しました。
夢を叶えて、今は実際に会計士として活躍されています。
プロフィールインタビューでは、会計士・税理士として独立したばかりの原田先生が感じていること、今後の展望を余すところなく伺うことができました。
新しいことに挑戦し続ける原田先生のお話は、中小企業経営者や、個人事業主の心強いパートナーになると感じました。
竹内ゆみ さん
原田先生は原田会計公式サイト内でブログを定期的に更新しており、タメになる会計や税金の話をわかりやすく紹介しています。
実際にお会いした際も親しみやすい人柄で、私達ビズローン編集部に「ひとり税理士」の話や、未来の会計士の仕事についてなど、授業形式で教えてくださったことが印象的でした。
詳しい内容は、ぜひインタビュー本編をご覧ください!
原田先生、ありがとうございました!