経費をおさえて楽に会計処理ができるクラウド会計ソフトは、特に個人事業主にとってメリットが大きいツールです。
小規模な中小企業経営者や個人事業主は、経理処理を自分でやっている時間もなく、人を雇う余裕もないという人も多いでしょう。
しかし、会計ソフトもサービス提供会社によって料金、サービス内容、機能などに違いがあり、どれを選んだらいいのか迷ってしまいます。
今回は代表的な3社のソフトを徹底的に比較するので、自分にあった会計ソフトを選ぶ参考にしてください。
3つのクラウド型会計ソフトを比較
株式会社MM総研が調査した「クラウド会計ソフトの利用状況調査(2018年3月末)」によれば、利用シェアのトップ3は以下の3社でした。
この3社のソフトを、今回は5つの項目で比較。その結果がこちらです。
項目/ソフト名 | やよいの青色申告オンライン | MFクラウド確定申告 | クラウド会計ソフトfreee |
---|---|---|---|
無料期間 | 初年度無料 | 1ヶ月間無料 | 最大30日間無料 |
年間利用料金 | セルフプラン:8,800円 ベーシックプラン:13,800円(初年度6,900円) |
パーソナルミニ:9,600円 パーソナル:11,760円 パーソナルプラス:35,760円 |
ミニマム:23,760円 ベーシック:47,760円 プロフェショナル:477,600円 |
シェア比較 | 53.9% | 15.5% | 25.4% |
リリース日 | 2014年 | 2013年 | 2013年 |
サポート内容 |
・WebFAQ (以下トータルプランのみ) |
(無料機能) ・確定申告書類の作成/提出 ・1会計年度50件までの仕訳登録 ・見積書、請求書作成(取引先登録の上限3件) ・メール/チャットサポート |
(全プラン対応) ・記帳機能 ・決算書作成 ・見積、請求、納品書作成 ・メール/チャットサポート ・電子帳簿保存法 完全対応 |
3社を比較してみると、総合的にバランスの取れた「やよいのオンラインシリーズ」に軍配が上がるのではないでしょうか。
特に豊富なサポート体制があるのは嬉しいポイント。会計作業は本業以外の作業になるのでわずらわしいものですが、それをサポートしてくれる体制が豊富にあれば安心です。
MM総研調べのシェア率調査でも、他の2社の追随を許さない抜群のシェア率を誇っており、その人気にも頷けます。
機能の比較
3社の機能性を比較表にまとめてみました。
機能/ソフト名 | やよいの青色申告 オンライン |
MFクラウド 確定申告 |
クラウド会計 ソフトfreee |
---|---|---|---|
スマートフォン向けアプリ | 取引入力可能 | 分析アプリ | 確定申告が可能 |
メールサポート | ○ | ○ | ○ |
チャットサポート | ○ | ○ | ○ |
電話サポート | ○ | × | × |
仕訳データの エクスポート・インポート |
○ | ○ | ○ |
仕訳データのインポート | ○ | ○ | ○ |
e-TAX対応 | ○ | ○ | ○ |
請求書作成 | × | × | ○ |
スマホで確定申告ができたり、請求書の作成ができたりと、使い勝手のよさは「確定申告ソフトfreee」が優れています。
各ソフトの特徴
続いて、各ソフトそれぞれの特徴についてご紹介します。
やよいの青色申告オンライン
元々インストール型会計ソフトの「弥生会計」で圧倒的なブランド力を持っている株式会社弥生がリリースしたクラウド会計ソフトです。
もともと膨大な数の顧客を抱えているため、サービスがきめ細かく、サポートが充実しているのも納得。
初年度は無料で利用できるため、会計処理が追い付かなくなってきたと感じたらすぐに導入を検討してみましょう。
MFクラウド確定申告(ベーシック・プラン)
クラウド型ソフトとして基本的なサービスを備えていて、料金も標準的です。
ただし通常のベーシックプランには電話サポートがなく、請求書作成には専用ソフト「MFクラウド請求書」の利用が必要となります。
MFクラウド請求書には無料プランもあり、個人事業主で取引先が3件以下であれば無料プランで十分です。
また、年間50件以内の仕訳件数であれば、永久無料でつかえるフリープランもありますので、スタートアップの個人事業主におすすめです。
freee確定申告ソフト
freeeのメリットとしては請求書作成機能が搭載されていることです。
料金は最も高くなりますが、請求書発送が毎月5件以上必要な事業主にとっては、コストパフォーマンスが高くなります。
またスマホで確定申告もできるので、申告期限が迫っているときは出張中でも作業を進められます。
それぞれの操作性は無料試用期間でチェック
気になる各会計ソフトの操作性ですが、これに関しては個人差があり、実際に使用してみないと使いやすいかどうかは判断できません。
各ソフトには無料試用期間や無料プランがあるので、すべて利用してみてから決定するという方法もあります。
項目/ソフト名 | やよいの青色申告オンライン | MFクラウド確定申告 | クラウド会計ソフトfreee |
---|---|---|---|
無料期間 | 初年度無料 | 永久無料のフリープランあり | 最大30日間無料 |
そもそも会計ソフトのメリットとは
会計ソフトとはどのようなものなのか、そのメリットについてご紹介します。
会計ソフトで業務の効率化
会計ソフトは基本的に仕訳入力するだけで、そのデータを元にして、決算書、確定申告書から試算表や総勘定元帳、貸借対照表・損益計算書まで、ほぼ自動的に作成します。
そのため企業法人で事業規模が大きくても仕訳の知識があるだけで、毎日や決算期の業務量を大幅に削減することができます。
個人事業主であれば、毎日簡単な入力をするだけなので、そのために人を雇う必要もなく人件費も節約できます。
単純な計算ミスがなくなる
経理上で問題となるのは、借方と貸方の金額が合わないといった単純な記入ミスが原因です。
会計ソフトでは借方と貸方の金額が違っていれば、エラーとなって入力できなくなるので、単純ミスがなくなります。
手作業で計算が合わない場合は、間違いを探すだけでも相当な時間がかかってしまいます。
会計ソフトを使用することで、訂正作業の時間もなくなり業務も効率的になります。
各種サービスとの連携
確定申告がオンラインでできる「e-Tax」は自宅で確定申告書を作成・送付できるので、郵送や税務署に持参する必要がなく時間が節約できるサービスです。
さらに会計ソフトはe-Taxと連携できるので、会計ソフトで作成した書類をe-Taxに送信することができます。
また、金融機関の口座やクレジットカードと連携させることで、データを自動的に取り込むこともできるので、伝票や通帳を確認しながら入力する必要もありません。
請求書や納品書、見積書を会計ソフトで作成して、取引先にオンラインで送付するといったことができる会計ソフトもあります。
このように会計ソフトは各種サービスと連携させることで、より効率よく業務処理することが可能になります。
法改正への対応
ほかの法律と比べて税法は改正が多い法律となっています。
税制が改正されるたびに申告書等の様式も変更となるので、改正内容の調査や書式の取得にも時間がかかります。
会計ソフトでは保守契約をすることで、毎年度税制の改正に合わせたアップデートができます。
また、クラウド型の会計ソフトの中には、無料で法改正に対応したアップデートができるソフトもあります。
2種類の会計ソフト
会計ソフトにはインストール型のタイプと、クラウド型のタイプがあります。
インストール型の場合は、自社のローカル環境で使用するので、パソコンでしか利用できず有料のバージョンアップも必要となります。
クラウド型はインストール型のデメリットを解消するためにできたシステムなので、インストール型にはない次のメリットがあります。
- 高級感あるメタル製のカードデザイン
- 設立間もない会社や固定電話のない会社でも発行可能
- スマホやタブレットでも利用できる
- 料金は月額または年額
- バージョンアップ無料
- グラフのレポートが可能
これから会計ソフトを導入するのであれば、メリットの大きいクラウド型をおすすめします。
会計ソフトと税理士事務所
個人事業主にとっては税理士を雇うお金を考えると、会計ソフトを活用したほうがお得です。
しかし、事業規模が拡大して従業員も増えると、給与計算などの業務も増えてくるので、税理士事務所に依頼するほうが効率的になります。
その場合でもデータをすべて税理士事務所に丸投げするよりも、ある程度、会計ソフトや給与ソフトでデータをまとめてから税理士に依頼しましょう。
丸投げをするよりも税理士への報酬をおさえることができます。
税理士と会計ソフトをうまく併用することで、経費を節減することができます。
まとめ
会計ソフトは、とくに個人事業者にとってはメリットがあるソフトです。
うまく活用すれば白色申告者でも簡単に青色申告に切り替えることができ、節税につなげることができます。
まだ会計ソフトを利用していない個人事業主は、この機会に導入を検討してみましょう。